今この瞬間の「絶対」をつないでいけば、いつかそれは永遠になる――小嶋陽太郎著『ぼくらはその日まで』
『ぼくらはその日まで』(小嶋陽太郎/ポプラ社)
9月6日発売の『ダ・ヴィンチ』は「恋する私たちは、ちょっとおかしい」という特集が組まれるが、恋をすれば「僕たち」もちょっとおかしくなる。好きな人ができたとたん、生活はその人を中心にまわりだし、誰も彼もがその人のことを好きなような気がしてしまい、自分がうっかり目をそらした隙に奪われてしまうんじゃないかと不安になる。大人でさえもてあますその気持ちを、初めて手に入れた中学生が冷静でいられるはずがない。『ぼくらはその日まで』(小嶋陽太郎/ポプラ社)は、そんな甘酸っぱい想いが交錯する青春小説だ。
思えば中高生時代、クラス替えや席替えは日常を揺るがす一大事変だった。主人公の僕ことサクは、中学2年生のクラス替えで、自分だけが仲良しの2人と離れてしまったことを知る。わんぱく少年・ハセと、変わり者の天然女子・チカ。サクはチカのことが好き。ハセとチカは恋愛にまるで興味がなさそうだが、周囲に耳を澄ましてみればハセは女子からずいぶん人気があるようだ。あまり意識したことはないけど、もしかしてハセって男気溢れるめちゃくちゃかっ…