極限状態に30年…小野田寛郎さんが遺した言葉
『生きる』(小野田寛郎/PHP研究所)
小野田寛郎さんをご存知だろうか? 1945年に太平洋戦争が終結してから29年経った1974年、フィリピンのルバング島から日本へ帰国した元陸軍少尉で、当時は大ニュースとなった。小野田さんはそれから約40年後の2014年1月16日、91歳で亡くなった。
その小野田さん生前最後の本『生きる』(小野田寛郎/PHP研究所)が話題になっている。凹凸のあるビニールカバーがかけられた文庫本ほどの大きさの本書は、まるで小野田さんが日本に帰って来た70年代の手帳のようなクラシカルな雰囲気だ。本書には30年に渡るルバング島での体験、帰国後の思いなどから得た、生きることに対する小野田さんの考えが詰まっている。
1922年、和歌山県に生まれた小野田さんは、1944年に陸軍中野学校二俣分校に入校、同年12月7日に宇都宮の飛行場からフィリピンへと赴任し、12月31日の朝、ゲリラ戦を指導する任務を帯びてルバング島に入った。以来約30年間、終戦を受け入れようとしなかった小野田さんは、仲間とともにルバング島で戦い続けることとなった。その間に…