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小林よしのり

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小林よしのりがいま描き出す壮絶な戦場のリアリティ

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『卑怯者の島』(小林よしのり/小学館)

 戦後70年に合わせ、戦争関連のマンガ本が続々と刊行されている。中でも、小林よしのりの『卑怯者の島』(小学館)は、「戦争とは何か」を改めて捉え直す上で特筆すべき一冊だ。

 パラオ・ペリリュー島を想定した南の島を舞台に、玉砕戦に臨む日本兵達を描いた物語だが、冒頭からページをめくる指が震えた。汗と血にまみれて殺しあう戦闘シーンに一切の甘さはない。  しかし、もっと壮絶なのは、極限状態の兵士達が集う洞窟の場面だ。生き残ったことへの自己嫌悪と、生きたいという本能との葛藤。「誰もが一秒先に勇敢と卑怯、どちらに転ぶかわからない」戦場の現実と、戦争における人々の深層心理に圧倒的な筆致で迫っている。

 読後、私は死んだ祖父の言葉を思い出した。小学校の頃、『戦争体験を聞こう』という宿題が出た際、福岡に住んでいた祖父に「なんも話したくなか」と言われたことを。大人になってから知ったが、祖父は南方の激戦地に出征した一人だった。本作を読み、改めて祖父のその言葉の重さを知る。

文=倉持佳代子

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