小林薫「“ドラマ”って、みんなそれぞれ抱えている。大きなものも、 小さなものも、どっちが重いかということはないと思うんです」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、3年ぶり、待望の新シリーズがスタートしたドラマ『深夜食堂 3』で、マスターを演じる小林薫さん。来年1月31日(土)には映画作品も公開。その製作の裏側と内側にある“ドラマ”とは――
「“一度でいいから出たい”と言って、本当に出演した方がいますよ。レギュラーの方々は“必ず声掛けてくださいね”と。魅力っていうのかな、『深夜食堂』は役者にとっても、何か引きつけられるものがある作品なんでしょうね」
役者だけではなく、監督もスタッフも。観る人たちが惹かれ、集まってくるように、作り手たちも集まってくる。端を発したのは、テレビドラマで一般的な“全あかり”と呼ばれる陰翳の出ない照明が、この作品にはそぐわないんじゃないかという小林さんのひと言だったという。
「1作目でお話をいただいた時、これだといわゆる存在感のないめしやになっちゃうんじゃないかと感じて。僕がもらしたその言葉を、言わなくてもいいのに、うちのスタッフがたまたま松岡監督と…