幸せに生きようとすると社会が「壁」として現れる。自分が自分であり、ゲイであることと向き合う少年アヤ最新刊
『ぼくをくるむ人生から、にげないでみた1年の記録』(少年アヤ/双葉社)
「自分を受け入れることなしには、他人を受け入れることなんてできないよ」
こうした自己啓発書に出てきそうなフレーズで助言を受けると、思わずイラッとしてしまう人は多いはずだ。
この言葉はおそらく真実だと筆者は感じるが、言葉を知っただけで自分を受け入れられる人なんて、まずいない。ありきたりの真実めいた言葉に辿り着くには、やはり誰もがその人なりの努力をして、失敗も重ねて、その人なりの遠回りもすることが必要なのだろう。
エッセイストの少年アヤさんの新著『ぼくをくるむ人生から、にげないでみた1年の記録』(双葉社)は、そうやってアヤさんが自分の人生に真正面から向き合ってきた記録だ。
アヤさんは高校時代の友人たちと自ら連絡を絶ち、再び交流するようになるまで10年を要した。父親とも13年間ろくに話をしなかった時期があり、当時は「パパ」と呼ぶのも嫌で「ハゲ」と呼んでいた。呼ぶたびに胸が痛くて、それを克服しようとしてもっと連呼し、おおらかなお父さんを傷つけ続けた時期もあったという。
その理由をアヤ…