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松岡圭祐

松岡圭祐 写真=森山将人
職業・肩書き
作家
ふりがな
まつおか・けいすけ

プロフィール

最終更新 : 2018-06-08

1968年愛知県生まれ。97年に『催眠』で作家デビュー。代表作「万能鑑定士Q」シリーズは累計450万部を突破。他の作品に「千里眼」「探偵の探偵」各シリーズ、『ジェームズ・ボンドは来ない』『ミッキーマウスの憂鬱』など多数。

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超ベストセラー作家が放つバイオレンス文学シリーズ第2弾! 新たな場所で高校生活を送るダークヒロイン・優莉結衣が日本社会の「闇」と再び対峙する…!

『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 奈々未の意識は朦朧としていた。ラブホの部屋で手足を縛られ、旅行用トランクに押しこめられた、そこまでは記憶に残っている。身体を無理に丸めた状態のまま、暗闇のなか乱暴な運搬に耐えた。息苦しさのせいで失神しかけては、強い衝撃を受けるたび、現実に引き戻された。まだ死んでいない、その事実に涙がこぼれた。嬉しさなどかけらもない、ただ辛く悲しかった。生をつなぎとめることは、いまとなっては苦痛でしかない。

 またぼんやりと知覚が戻りつつある。トランクからは解放されていた。けれども依然として身体の自由はきかない。両手首は後ろ手に縛られたままだ。両足首もやはり固定されている。ずっと全裸だった。硬く冷たい床に這い、声を発する自由もない。嘔吐感は依然としておさまらないが、口をガムテープでふさがれ、吐くことさえ許されない。

 ひどく寒かった。タイル張りの床にはうっすらと霜が積もって…

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ダークヒロイン登場! 思わず姉のことを言いかける妹だったが…/ 松岡圭祐『高校事変 II』⑦

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 ベッドに潜っても、理恵は一睡もできなかった。そのうち夜が明けた。朝食の時間を迎えた。

 姉とふたりで過ごす部屋は手狭だと、いつも思ってきた。ひたすら窮屈だった。なのにひとりきりになると、ただ寂しさばかりが募る。先に着替えをすませ、理恵を起こしてくれる姉の声が、けさはきこえない。物憂げな気分のまま、二段ベッドの下段から抜けだし、江戸川南中のセーラー服を身にまとう。

 階段を下りていき、テーブルに近づいた。小学生の三人が味噌汁をすすっている。小三と小五の男の子がふたり、小六の女の子がひとり。理恵にとって、特に仲がいいわけでも、悪いわけでもない。家族とはちがう。ただ一緒に暮らしている、それだけの関係にすぎない。

 理恵はキッチンへと向かった。谷川裕子がマスクにエプロン姿で、鮭と昆布を複数の皿に盛りつけている。味噌汁の入った椀が、うっすらと湯気を立てていた。

 裕子の…

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帰ってこない奈々未に当てにならない警察。妹の不安は募り…/ 松岡圭祐『高校事変 II』⑥

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 嘉島理恵の暮らす児童養護施設“きずな”は、ファミリータイプの戸建てだった。看板を除けば、どこにでもある少し古びた一軒家にしか見えない。

 葛飾区の柴又駅周辺は、小ぶりな家屋が密集するなか、狭い路地が入り組んでいる。駅から歩いて十五分、ひったくりや痴漢注意の看板が多く目につく区画に、施設は埋もれるように建つ。夜間は近隣住民に迷惑がかからぬよう、静寂を保つ規則だった。

 四方の壁に生活用品が堆く山積する、倉庫然としたリビングで、理恵はひとりテーブルについていた。年代ものの柱時計を見上げる。すでに午前零時をまわっていた。消灯時間をとっくにすぎている。

 施設に身を置く子供たちは、みな二階で眠っているが、理恵だけはリビングに居残りつづけた。職員たちも咎めようとしない。やむをえない状況だ、大人たちはきっとそう思っている。

 ふだん先生と呼ぶ児童指導員らは、みな玄関先に集…

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巧妙に連れ去られた女子高生・奈々未はどうなる?/ 松岡圭祐『高校事変 II』⑤

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 城山はラブホの廊下にいた。405号室のドアの前、サトシと待機中だった。また腕時計に目をおとした。時間が経つのが遅い。一分が十分に感じられる。現実に十分を超過しても、なお鍵が開く気配はない。

 サトシが苦い顔をしながら、ドアに耳を這わせた。「なかにいるのはまちがいないんですけどね。シャワーの音がきこえますよ」

「もう浴室に入ったのか」城山は苛立ちとともに吐き捨てた。「ナナミはなにしてる」

「ラインで連絡してみましょうか」

「素っ裸でシャワー浴びてたら、気づくはずもないだろうが」

「なら電話してみます」サトシがスマホを操作した。静寂のなか、サトシは訝しげに眉をひそめた。

 城山はサトシにきいた。「ナナミのスマホ、鳴ってるか?」

「部屋のなかから音はきこえませんね。でもバイブにしてるのかも」

 これ以上はまてない。城山は業を煮やし、ドアを叩きだした。「おいナナミ。タカダ、い…

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あやしい客と対面…そして悲劇が起こる/ 松岡圭祐『高校事変 II』④

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 日没後の鶯谷駅前、言問通りの路肩に、高級車が連なっている。吉原のソープランドを予約した客の送迎車だときいた。禿げ頭の中年男が運転手と笑いあいながら、後部座席に乗りこむ。奈々未は黙って目を伏せた。

 サトシの運転するSUV車は、妖しげなネオンのきらめく街角へと乗りいれていった。狭い路地には、車両を左右に寄せるほどの道幅もない。サトシは真んなかに停車させた。夜といえど時間が早く、往来するのはカップルばかりではなかった。会社員らしきスーツや、本物の高校生も見かける。奈々未はドアを開け、そそくさと外に降り立った。人目など気にしてはいられない。

 城山の声が飛んだ。「コインパーキングに停めてくる。へまをするなよ」

 奈々未は頭をさげた。SUV車が走り去るのを、黙って見送る。軽く咳きこみながら、ピンクいろの看板に近づいた。エントランスの自動ドアを入る。

 暖房が効いている…

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「ICレコーダーで会話を録音しろ」あやしい客のもとに派遣されることになり…/ 松岡圭祐『高校事変 II』③

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 奈々未は食事をとらず、理恵にも黙って施設を抜けだした。着替えとメイク用品は手提げ袋に詰めこんである。施設の部屋は妹と共用だった。そこで準備できるはずもない。

 コンビニのトイレに籠もり、化粧をすませる。奈々未の通う高校の制服はブレザーだったが、店から支給されたセーラー服を着用した。いまどきありえないぐらいスカート丈が短くても、ダウンを羽織れば覆い隠せる。

 外にでた。奈々未は絶えずこみあげてくる嘔吐感に抗いながら、コンビニの前にたたずんだ。ほどなく黒いSUV車が滑りこんできた。後部ドアを開け、奈々未は車内に乗りこんだ。

 運転席のサトシが背を向けたままクルマを発進させた。助手席におさまっているのは城山だった。城山が振りかえり、醒めた目つきで奈々未を一瞥する。また前方に向き直った。

「ナナミ」城山がいった。「体調不良は嘘じゃなかったみたいだな。ファンデ、もっと塗…

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 十八歳になったばかりの嘉島奈々未は愕然とした。妊娠検査薬は陽性だった。

 見まちがいではないのか。蛍光灯の薄明かりのなか、コンビニで買った箱の説明書を読みかえす。検査時期がずれていると誤った反応が表れることがあります、そうあった。該当しない。生理はずっときていなかった。前回からひと月半が経過している。検査結果を否定しうる根拠はない。

 震える手で、妊娠検査薬をゴミ箱に投げこんだ。洗面台で手を洗う。汚れた鏡に自分の顔が映っていた。血色を失い、青白く染まっている。いつしか頬もこけ、やつれきっていた。病床で見た母親の面影が重なる。最後に母を見舞ったのは、奈々未が小学六年のころだった。あの一週間後、きょうのように寒い夜、母は息をひきとった。

 ふいの嘔吐感に前のめりになる。胃液の酸っぱさが口のなかにひろがった。この場に膝をついてしまいそうだった。

 なんとか踏みとどま…

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最大の問題作、待望の続刊! JKビジネスで派遣された女子高生が次々音信不通に…/ 松岡圭祐『高校事変 II』①

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 学校つていやなところさ。だけど、いやだいやだと思ひながら通ふところに、学生々活の尊さがあるんぢやないのかね。パラドツクスみたいだけど、学校は憎まれるための存在なんだ。

太宰治「正義と微笑」より

 日本の男はみな女子高生が好きだときかされたのは、もう十年ぐらい前のことだったか。中高年になっても年甲斐もなく、趣味が変わらないらしい。自分に当てはめてみれば、納得がいく話だと思った。四十二歳のいまも女子高生に欲情する。ただ世間もそうだからといって、商売のほうも順調とはかぎらない。規制は厳しくなる一方だ。

 城山譲二はタバコの煙をくゆらせていた。小遣いほしさに売春に手をだす女子高生は大勢いたものの、出会い系サイトは当時、すでに警察がマークしていた。売春の仲介業務なら稼げそうだ、直感的にそう決断した。

 ただし窓口になる店舗経営には工夫が求められる。リフレ、すなわち足裏マ…

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