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松岡圭祐

松岡圭祐 写真=森山将人
職業・肩書き
作家
ふりがな
まつおか・けいすけ

プロフィール

最終更新 : 2020-02-06

1968年愛知県生まれ。1997年にデビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。代表作「万能鑑定士Q」シリーズは累計450万部を突破、2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞、17年には吉川英治文庫賞候補作に。

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『高校事変III』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 角間が妙な顔になり、カバンからタブレット端末をとりだした。画面にタッチすると、名簿一覧が表示された。「中学部か。入学候補者は全員、私が直接訪問することになってるんだが」

 助手席の倉橋が振りかえった。「健康育児連絡会のほうでも、そんな話はきいてません。どこの推薦だろうと、うちを通すはずですが」

 タブレット端末の画面に指を滑らせながら、角間がつぶやいた。「優莉。優莉……。ないな」

 結衣も画面をのぞきこんだ。中学部名簿、ヤ行の欄は、山本の次が横井になっていた。優莉凜香の名は見あたらない。

 当惑をおぼえる。妹の動向を知りたくて見学にでかけたのに、学園長も橋渡し役も関知していないようだ。

 ふいに倉橋が声を発した。「おや。なんでここに入るんですか」

 クルマはいつしか公道を外れ、工場らしき敷地へと乗りいれていく。照明は消灯し、辺り一…

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『高校事変III』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 見学訪問を承諾した結衣の意思は、猪原の連絡により、夕方までに角間らに伝わったらしい。あわただしいことに、翌朝には迎えにくる、そんな返事を受けたという。

 葛飾東高校へは施設職員が電話してくれた。翌日の欠席は了承された、施設職員が結衣にそういった。映像の件が高校に知らされたかどうか、そこはきかなかった。どうせそのうちネットで噂になるか、マスコミが記事にするだろう。

 朝の暗いうちから、施設の雨戸は開け放たれる。窓の外に見える漆黒の空は、青みがかってすらいない。とはいえそんなに早くもなかった。冬のこの時期、日の出は午前七時近い。みな通学に備え、とっくに起きだしている。

 結衣は葛飾東高校の制服を着た。そうするよう指示されたからだった。スマホ充電用のUSBケーブルを、忘れずリュックにおさめる。階段を下りていくと、朝食の準備が半ば進んでい…

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公安に危険分子とみられている結衣、施設は「最後の砦」か…?/ 松岡圭祐『高校事変Ⅲ』⑤

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『高校事変III』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 倉橋が腕組みをした。「三人の男子生徒が被害をうったえないのは、身からでた錆だとわかってるからだろう。クラスメイトや教師たちも、きみをかばっているんだと思う。でもいまになって、こんな映像がでてきた。暴行や傷害は親告罪じゃないから、被害者が警察に告訴しない場合でも、立件される可能性はある」

 角間は渋い顔で倉橋を眺め、首を横に振ってから、結衣に目を戻した。「実際には被害届がでていなければ、立件されることはめったにないそうだ。知り合いの弁護士にきいた。現行犯逮捕ならともかくこの映像だけなら、少年たちに非があった事実も考慮され、酌量される公算が大きいらしい。退学処分が妥当なものの、すでに転校ずみでもある。ただ、きみの場合はそこで終わらない」

 結衣はうつむいたままだった。見るに堪えないと猪原は思った。

 彼女の保護者として、実の親も同然の辛さを噛…

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「なにか起こせば特殊な施設行き」優莉結衣は公安から脅されていたが、ついに…/ 松岡圭祐『高校事変Ⅲ』④

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『高校事変III』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 葛飾区の税収はそれなりに高いはずが、インフラ設備のほうはいっこうに改善しない。つい先日も、老舗繊維工場のセンイー葛飾が潰れた、そう報じられたばかりだ。区内の景気は当面のあいだ冷えこむ一方かもしれない。

 柴又駅周辺には、小ぶりな家屋が密集し、狭い路地がやたら入り組んでいる。駅から徒歩十五分、児童養護施設〝きずな〟はあった。

 外観は古びた二階建ての民家でしかない。今年四十五歳になる施設長、猪原武志は眼鏡を外し、ハンカチでレンズを拭いた。外出の予定もないのに、ジャケットとネクタイを身につけるのはひさしぶりだ。きちんとした服装は接客のため必要だったが、暖房が効きすぎているせいか、額に汗が滲んでくる。

 猪原はふたたび眼鏡をかけた。ぼやけていた視野が鮮明になる。いつもどおりリビング兼ダイニングルームは雑然とし、四方の壁に生活用品が堆く積んである…

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「共感しあえる誰かがほしい。」――“問題児”紗奈も施設への決意をかためる/ 松岡圭祐『高校事変 Ⅲ』③

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『高校事変III』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 明宮紗奈が都立荒川高校の校長室にきたのは、けさが初めてではなかった。

 深夜の渋谷をうろついているところを補導された翌朝、母親とともに呼びだされた、それが一回めだった。以後も同じようなことが何度かあった。母が行方不明者届をだしていたことも、たいていこの部屋で知らされた。

 そんな母の姿も、いまはここにない。父はもともといなかった。シングルマザーで子育てに奮闘する、そう決心するのは母の勝手だ。けれども子のほうは、産まれてくる家庭を選べない。幼少期にはもう不満を抱えていたが、不服など口にできない。いったところで変わらない。だから対話を拒んだ。家に帰らなくなった。

 殺風景な校舎のなか、校長室だけ応接間のような内装を誇る。大人のくだらない見栄の象徴のように思える。きょうはめずらしくソファに座るのを許された。これまでは母だけがソファにおさまり、紗…

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『高校事変III』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 桐谷陽翔はパイプベッドに横たわり、六畳の天井を眺めていた。

 明かりは灯さず、カーテンも閉めきっている。電源をいれっぱなしのモニターに映る、MMORPGのデモ表示が、室内のいろをしきりに変えつづける。

 物心ついてから、ずっとこの部屋にいる気がした。幼稚園に通いだしたころには、ここで寝起きしていた。ベッドと勉強机は新調したものの、レイアウトは変わっていない。そんなに変えられるはずもない。勉強机のわきにパソコン用デスクを増設して以降、部屋のなかはいっそう窮屈になった。

 家そのものが狭い。少し前まで父方の祖母が同居していた。田舎に住んでいた祖母を、父が無理やり連れてきた。母はあきらかに嫌がっていた。祖母も居心地が悪そうだった。父の自己満足だったのだろう。やがて祖母が死んで、一階の和室があいた。その後は客間になっている。

 ふだんは時刻など意識…

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『高校事変III』(松岡圭祐/KADOKAWA)

学校で習ったすべてを忘却してもなお残るもの それが教育である

――アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)

 善意であっても受けいれてもらえない。そんなときはただ、己れの無力さを痛感せざるをえない。

 五十九歳になる精神科医兼脳神経外科医、角間良治は自宅の書斎で、肘掛け椅子におさまっていた。窓にうっすらと映りこむ自分の姿を眺める。白髪を黒く染めても、すぐに生えぎわから元のいろが戻ってくる。いつしか皺の数も増えていた。老眼鏡が鼻先にずりおちると、それだけ眼球が拡大される。まるでぎょろ目も同然に見えた。

 眼鏡を外し、焦点を遠くに合わせる。朝方から雪がちらついていた。ランドセルを背負った男の子がふたり、はしゃぎながら駆けていく。小児発達学や小児精神神経学に勤しんできたせいか、子供たちの行動はいつも気になる。

 書斎に妻の香奈恵が入ってきた…

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ラブホで連れ去られた奈々未が全裸にされ連れてこられた場所は…/ 松岡圭祐『高校事変 II』⑧

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『高校事変 II』(松岡圭祐/KADOKAWA)

 奈々未の意識は朦朧としていた。ラブホの部屋で手足を縛られ、旅行用トランクに押しこめられた、そこまでは記憶に残っている。身体を無理に丸めた状態のまま、暗闇のなか乱暴な運搬に耐えた。息苦しさのせいで失神しかけては、強い衝撃を受けるたび、現実に引き戻された。まだ死んでいない、その事実に涙がこぼれた。嬉しさなどかけらもない、ただ辛く悲しかった。生をつなぎとめることは、いまとなっては苦痛でしかない。

 またぼんやりと知覚が戻りつつある。トランクからは解放されていた。けれども依然として身体の自由はきかない。両手首は後ろ手に縛られたままだ。両足首もやはり固定されている。ずっと全裸だった。硬く冷たい床に這い、声を発する自由もない。嘔吐感は依然としておさまらないが、口をガムテープでふさがれ、吐くことさえ許されない。

 ひどく寒かった。タイル張りの床にはうっすらと霜が積もって…

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