常盤貴子「この映画には、81歳の東陽一監督が見つめている“今”がある」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、井上荒野原作、映画『だれかの木琴』で、池松壮亮演じる若き美容師に執着する主婦・小夜子を演じた常盤貴子さん。監督・東陽一からのオファーに「幸せすぎて死にそうでした」と語る、その作品、そしておすすめの一冊から感じ取った“今”とは――。
「初めてオペラを観たときの衝撃はいまだに忘れられません。まず視覚的に驚いたのは、ひとつの舞台のうえに、同時に100人以上もの演者たちがいるという、これまでのミュージカルや演劇では観たこともない規模の壮大さ。だからこそオペラの劇場は、奥行きも天井高も必要であるし、また、それを運営していくためには、絶対的に観客を呼ばなければいけないという闘いがあるのだと感じました」
「ページを繰るたび、またオペラを観たくなってしまう」と語る、おすすめの一冊『100語でたのしむオペラ』には、そうした芸術の舞台裏の事情も詳らかにされている。それは、中堅として世界的に活躍している指揮者、音楽監督としての、著者な…