いつの時代も童貞は……発禁処分となった“性欲的生活”――森鴎外『ヰタ・セクスアリス』| 連載第5回
『ヰタ・セクスアリス』(森鴎外)
「愛おしき変態本」第5回は、1909年(明治42年)に発表された、森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』(新潮文庫)をお送りする。作家と軍医という二足のわらじを履き続けた鴎外のプロフィールはこちら。
もり・おうがい 1862年(文久2年)石見国津和野(現在の島根県鹿足郡津和野町)出身。本名は森林太郎。津和野藩主亀井家の典医を務めていた森家の長男として生まれる。72年父に随って上京。74年東京医学校予科に入学(しかし資格年齡に達してなかったため1860年生まれとし、以後公式にはこの年齡を使用)。81年卒業、同年9月『河津金泉君に質す」を読売新聞に発表、12月陸軍軍医となる。84年から4年間ドイツ留学。帰国後の90年、ドイツ人女性との悲恋を描いた『舞姫』を発表。主な作品に『青年』『山椒大夫』『高瀬舟』『雁』『阿部一族』など。1922年(大正11年)7月9日、萎縮腎により死去(戦後、息子の於菟によって結核であったと訂正されている)。
鴎外の自伝的な小説と言われる『ヰタ・セクスアリス』は「題名だけは知っている本ランキング」があれ…