「誰も結末にたどり着けない」謎の本をめぐる、究極の冒険譚! 森見登美彦『熱帯』
まず、世界の真理レベルの話として、森見小説はおもしろい。 次に「誰も結末にたどり着けない謎だらけの奇書」という設定に心惹かれぬ本読みはいない(はずだ)。 ゆえに、森見登美彦氏が「誰も結末にたどり着けない謎だらけの奇書」をめぐる冒険を描いた物…
まず、世界の真理レベルの話として、森見小説はおもしろい。 次に「誰も結末にたどり着けない謎だらけの奇書」という設定に心惹かれぬ本読みはいない(はずだ)。 ゆえに、森見登美彦氏が「誰も結末にたどり着けない謎だらけの奇書」をめぐる冒険を描いた物…
長編アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』(石田祐康監督)が、8月17日の全国公開に先立って、カナダ・モントリオールのファンタジア国際映画祭で最優秀アニメーション賞にあたる今敏賞(長編部門)を受賞したという嬉しいニュースが飛び込んできた。 『ペン…
「“〇〇の時に読むための本”というものがあっても良いのではないか。例えば、飛行機で東京からニューヨークへ移動する間に読むための本であったり。本来、読書とはそういうものだ」円城塔氏の芥川賞受賞作『道化師の蝶』(円城塔/ 講談社)には、このような…
『夜行』 ●あらすじ● 「鞍馬の火祭」を見に行こうと、京都で学生時代を過ごした5人の仲間が10年ぶりに集まった。10年前、彼らは同じように鞍馬の火祭を訪れていた。しかし当時の仲間は6人。もう一人の仲間である「長谷川さん」は、その祭りの夜、神隠しのよ…
森見登美彦節というのがある。森見登美彦セツではない。ブシである。 だいたい森見ファンはこの森見節に手もなくやられる。どういう節かというと、すました顔してボケをかますお茶目スタイルだ。可愛い~んのである。可愛い上にすこぶるスマート(頭が切れる…
京都の町をぷりぷりと歩くセーラー服の美少女。それは糾ノ森に住む下鴨一族の3男の矢三郎。彼はあるときは女子高生、ある時は京都の腐れ大学生、ある時は可憐な令嬢にくるくると姿を変える。つまりは彼は化けることを得意とする狸なのである。 狸は天狗を先…
森見作品は何冊か読んでいましたが、気になりつつもなんとなく手つかずだったこの小説。2007年の本屋大賞では惜しくも2位でしたが直木賞候補にもなり、山本周五郎賞を受賞した評判作です。 すみません、わたし勝手に、この作品のあらすじを、「夜の散歩が大…
お金がなく、身なりは冴えず特に人気もなく、勉強で目立つわけでもなく、運動能力もそこそこ。あるのは、人一倍強い自負心と、若者特有のリビドーと、そこからくる暴発せんばかりのエネルギー。おまけにナルシスト。 これ、物語の主人公「私」のことです。作…