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「森見登美彦」のレビュー・書評

「誰も結末にたどり着けない」謎の本をめぐる、究極の冒険譚! 森見登美彦『熱帯』

「誰も結末にたどり着けない」謎の本をめぐる、究極の冒険譚! 森見登美彦『熱帯』

『熱帯』(森見登美彦/文藝春秋)  まず、世界の真理レベルの話として、森見小説はおもしろい。  次に「誰も結末にたどり着けない謎だらけの奇書」という設定に心惹かれぬ本読みはいない(はずだ)。  ゆえに、森見登美彦氏が「誰も結末にたどり着けない謎だらけの奇書」をめぐる冒険を描いた物語に食指が動かぬ読書人などありえない。  さあ、みなさん、奮って読みましょう。  ……で、終わらせたいほど、『熱帯』(文藝春秋)を説明するのは難しい。なぜならこの1冊は、現…

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8月17日全国公開の映画『ペンギン・ハイウェイ』原作は、森見登美彦屈指の感動作だ

8月17日全国公開の映画『ペンギン・ハイウェイ』原作は、森見登美彦屈指の感動作だ

『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦/角川書店)  長編アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』(石田祐康監督)が、8月17日の全国公開に先立って、カナダ・モントリオールのファンタジア国際映画祭で最優秀アニメーション賞にあたる今敏賞(長編部門)を受賞したという嬉しいニュースが飛び込んできた。 『ペンギン・ハイウェイ』は当代の人気作家・森見登美彦が2010年に発表した同名小説が原作。今回の報道を受け、この不思議なタイトルの作品にあらためて興味を抱いた人も多いと…

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眠る前に読むべき本!? 森見登美彦初のエッセイ大全集で寒き夜に素敵な読書体験を

眠る前に読むべき本!? 森見登美彦初のエッセイ大全集で寒き夜に素敵な読書体験を

『太陽と乙女』(森見登美彦/新潮社) 「“〇〇の時に読むための本”というものがあっても良いのではないか。例えば、飛行機で東京からニューヨークへ移動する間に読むための本であったり。本来、読書とはそういうものだ」円城塔氏の芥川賞受賞作『道化師の蝶』(円城塔/ 講談社)には、このような趣旨の会話が登場する。  それまで私は「読む本とそれを読む時の環境との相性」についてあまり深くは考えたことがなかったが、なるほど確かに。よく考えてみると、そのような読書時の状況に…

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【ダ・ヴィンチ2016年12月号】今月のプラチナ本は 『夜行』

【ダ・ヴィンチ2016年12月号】今月のプラチナ本は 『夜行』

『夜行』 ●あらすじ● 「鞍馬の火祭」を見に行こうと、京都で学生時代を過ごした5人の仲間が10年ぶりに集まった。10年前、彼らは同じように鞍馬の火祭を訪れていた。しかし当時の仲間は6人。もう一人の仲間である「長谷川さん」は、その祭りの夜、神隠しのように突然姿を消してしまったのだ。 彼女の不在を胸に抱えつつ、再会した5人は貴船川沿いの宿で一夜を過ごす。雨の夜が更けていくなか、5人はそれぞれ旅先で出会った不思議な体験を語り出す。すると奇妙なことに、彼らの語る旅…

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主人公「僕」の視線が新鮮な第31回SF大賞受賞作

主人公「僕」の視線が新鮮な第31回SF大賞受賞作

森見登美彦節というのがある。森見登美彦セツではない。ブシである。 だいたい森見ファンはこの森見節に手もなくやられる。どういう節かというと、すました顔してボケをかますお茶目スタイルだ。可愛い~んのである。可愛い上にすこぶるスマート(頭が切れるという意味)なのだからたまらない。ついつい次の1冊に手が伸びるわけだ。 ところが本書では、森見はこの文体を捨てた。この文体では描くことのできない新しい「世界」に踏み込んでいこうとしている。私はこちらもすこぶるステキだと思った…

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京都の町を狸が天狗が駆け巡る。狸の一生は、おもしろくって退屈している暇がない

京都の町を狸が天狗が駆け巡る。狸の一生は、おもしろくって退屈している暇がない

京都の町をぷりぷりと歩くセーラー服の美少女。それは糾ノ森に住む下鴨一族の3男の矢三郎。彼はあるときは女子高生、ある時は京都の腐れ大学生、ある時は可憐な令嬢にくるくると姿を変える。つまりは彼は化けることを得意とする狸なのである。 狸は天狗を先生と崇め、そして天狗は恋に悩み落ちこぼれ街道まっしぐら。井戸の中には化けたまま戻れなくなった元狸の蛙が一匹。風情あふれる京都の町を、下鴨一族の4兄弟の狸をはじめ、奇妙な輩たちが駆け巡る様子がなんとも楽しい! というかかわいい!…

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すべての片恋妄想人に捧げたい。滑稽、痛快、愚かしくも愉快な青春小説

すべての片恋妄想人に捧げたい。滑稽、痛快、愚かしくも愉快な青春小説

森見作品は何冊か読んでいましたが、気になりつつもなんとなく手つかずだったこの小説。2007年の本屋大賞では惜しくも2位でしたが直木賞候補にもなり、山本周五郎賞を受賞した評判作です。すみません、わたし勝手に、この作品のあらすじを、「夜の散歩が大好きな黒髪の少女が延々と歩き続けるのを、彼女に片思いしている主人公がひたすらうしろからついていき、その間に不可思議な事件が起きる、一夜のハイキングファンタジー(長編小説)」だと思っていたのです。 いったいどこでどう間違った…

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憧れの大学生活を想像できる、中高生必読の良作!?

憧れの大学生活を想像できる、中高生必読の良作!?

お金がなく、身なりは冴えず特に人気もなく、勉強で目立つわけでもなく、運動能力もそこそこ。あるのは、人一倍強い自負心と、若者特有のリビドーと、そこからくる暴発せんばかりのエネルギー。おまけにナルシスト。これ、物語の主人公「私」のことです。作中では明らかにされていませんが、描写から推測するところ、おそらく京都大学に通っています。京大生は個性が多いと言われていますが、同時に、器用だとも思います。 仕事柄、京大生にインタビューすることもしばしばありますが、主人公「…

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