主役は、食用のメス豚!? 異色すぎる日本ホラー小説大賞短編賞受賞作が電子書籍で登場!
「悲劇と喜劇は紙一重」っていうけれど、ホラーと喜劇も実はけっこう紙一重なんですよねー…って新年早々に唐突ですみませんが、いずれにしろそんな〈紙一重っぷり〉を楽しめる方・お好きな方に特にオススメしたいのが、この短編集『トンコ』なのであります! 表題作の「トンコ」は、日本ホラー小説大賞短編賞受賞作でありながら、その内容はといえば「食用豚が、ただひたすら逃げ回る」だけ、という異色作。選考委員の林真理子氏は「『トンコ』はこのまま純文学雑誌に出ても高い評価を得たはずだ」とおっしゃっています。他に、親の愛に飢えた少女が、自分も“ぞんび”になりたくて(やけにキャラの立った)“ぞんび”達のもとに足しげく通う「ぞんび団地」、たったひとりの肉親であった妹の自殺の真相を、大胆な視点を取り入れつつミステリタッチで描きだす「黙契」の全3作を収録。いずれも方向性やテイストはバラバラなんだけど、どの作品にも著者独自のエッセンス(無味無臭にして毒性高め)がそれとは気づかれぬようたっぷり含まれているため、なかには読後ものの数分もしないうちに彼女の名をググっては他の著作を漁…