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星野智幸

職業・肩書き
作家
ふりがな
ほしの・ともゆき

「星野智幸」のおすすめ記事・レビュー

  • レビュー・書評

植物の声を聴き、生命の循環を体感するSFファンタジー短編集『植物忌』がくれた気付き

植物の声を聴き、生命の循環を体感するSFファンタジー短編集『植物忌』がくれた気付き

『植物忌』(星野智幸/朝日新聞出版)

『植物忌』(星野智幸/朝日新聞出版)は、植物がむせ返るほどの匂いや息遣いと共に語りかけてくるSFファンタジー短編集だ。収録作の多くは植物と人間の交わりを描いており、生命の環という途方もないスケールのメッセージを受け取れる。

 ファッション・タトゥーとして植物を直接肌に植える技術の発展と、人類の生物種としての進化を語った「スキン・プランツ」。疫病が蔓延した世界で部屋に引きこもる少女と青虫の交流を、絵本のような世界観で描く「ディア・プルーデンス」。植物との同化を願って植物転換手術を受けた青年の経験を追体験する「ぜんまいどおし」。植物の反乱とそれを食い止める組織ネオ・ガーデナーの抗争をスリリングに展開した「ひとがたそう」。ほか、個性豊かな全11編が収録されている。

 植物はかくも大きな生命の環の中で生き続けているのだ、と圧倒される。たとえ1本の木が枯れても、別の場所に飛んだ種が芽吹けば、種の保存が続く。短編集の最初を飾る「避暑する木」は、ひとりの少年がある強い想いと共に育てた木の種を、人の手を借りながら世界へと運び、やが…

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亀梨和也が33人のオレ(ワタシ)を演じる衝撃シネマ『俺俺』の原作本

亀梨和也が33人のオレ(ワタシ)を演じる衝撃シネマ『俺俺』の原作本

同じ顔に、同じ好み、考え方や価値観まで今の自分とそっくりおんなじ。ある日、自分が増殖して、世界が自分だらけになってしまったら、あなたは一体どうしますか?

『俺俺』は月刊誌『新潮』に連載され、2011年第5回大江健三郎賞を受賞した作品です。家電量販店で働き平凡な毎日を送る28歳の「俺」が、ほんの出来心でオレオレサギを働いたことをきっかけに何かがゆがみ始め、重層的な無限の俺俺パラレルワールドにからめとられてゆく、ブラックでトリッキーなストーリー。「俺」が増殖してゆく展開はシュールでいながらちょっぴりコミカル。3人の「俺」が出会い、なまぬるい自己愛ワールド「俺山」を結成するあたりまでは面白く読み進めることができました。他者との違和感に生きづらさを感じる20代男子にとって、「他者を排除した、自分だけしかいない気楽な世界」は、自由に呼吸できるパラダイスの象徴なのかもしれません。

しかし「俺ら」の意識にある種のパラダイムシフトがおとずれたことで、愛しくもキッチュな俺ワールドはあっさり崩壊。同じ「俺」でも、「許せない俺」が存在することへの気づきから、血なまぐさい共…

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出版社
朝日新聞出版
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ISBN
9784022517609
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