死様(しにざま)をテーマにした競作小説シリーズ登場!
「死様(しにざま)」をテーマに、6人の作家が競作する小説シリーズが登場した。 「一分一秒が愛おしい最期の恋を描きました」 こう語る恋愛小説の名手・盛田隆二さんが描いたのは“最期の恋”。タイトルは、『身も心も』(光文社)だ。 「人生の残り時間が迫ってきて、一分一秒を大切にしたいと本当に心の底から思う時には、やっぱり“身も心も”になると思うんです」 主人公の道久礼二郎は75歳。6年前に妻を亡くし、一時は要介護認定を受けるほど衰弱する。 「僕のおやじがそうだったんです。おふくろを亡くした後、生きる気力を失って。老人性鬱病です。そういう時に、もう一度生きてみようと思うきっかけって何なのかと」 当時、実父を介護していた自分の体験をベースにした『二人静』を連載中だった盛田さん。 「今度は父親の目線に立ってみた時に、妻を愛していたのに、ちゃんと優しくしてやれなかったという悔いを抱えた極めて平凡な男の姿が浮かんできた。礼二郎にとって恋愛は人生でやり残していることなんですね。そんな男がどんな女性となら、また恋に堕ち…