恋とは、セルフリスペクトとは…答えのひとつがここに
ジャーナリストである主人公・早川玲がコンビニの酒コーナーをうろついているところからこの作品は始まる。彼女の思考の流れがずっと追われるのだが、それは気の毒なほどけたたましく落ち着きがない。脳内の声はずっと彼女に語りかけ、ときに嘲り罵りつづける。声を聞きたくないために玲は不眠症になり、眠るためにアル中になり、さらには食べ吐きを繰り返すようになった。結果として肌も荒れ、美しさを保つことが困難になっていく。
最初はどちらもコントロールできると思っていたのにアルコールからも食べ吐きからも抜け出せずにいる。飲みたいという声と飲ませたくないという声、雑誌から溢れる情報の洪水、くだらない座談会に出席してしまったことへの悔恨。声から逃れるようにとりあえずレジに向かった彼女はある男を見かける。
「あれ、食べたい。」聞こえてくる声は、玲の意思。玲は男を目で誘う。男は彼女の手の甲をするっと擦って、外に出ていく。玲は、進行していた企画の取材相手からの待ち望んでいた電話に出ることもせず、彼について行ってしまう。男はフリーのトラック運転手だった。恋情と情事、暴走族上がりの男の話、…