悲しさや苦しさも糧になる。すべてを背負って、生きていこう。『幸福のパズル』/佐藤日向の#砂糖図書館⑦
今回は、本の話の前に少しだけ、私が読書を好きになったきっかけからお話したい。 私は幼少の頃、周りの女の子が楽しんでいたおままごとやお人形遊びに、あまり興味が持てなかった。そんな時、私が本を読むきっかけをくれたのは父だった。 父はいつも推理小説を読んでいて、父が読んだおすすめの本を貰って読む、なんてことも多々あった。 それもあってか、私が普段書店で手に取る本は、ほとんどが推理小説だ。 だが、せっかくこうして連載を持たせて頂いているからには、今まで自分が読まなかったジャンルを読んでどう感じたかを、文字に起こしてみたくなった。 今回紹介させて頂く作品は、私が次の連載の本を書店で探している時に「折原みとさんだ、懐かしいなぁ」と母が呟いたことがきっかけで手に取った、折原みとさんの『幸福のパズル』だ。 『幸福のパズル』は、主人公の倉沢みちるが過ごした、約2年の間に起きた葛藤や悲劇を詰め込んだ純愛小説。 倉沢みちるは高校生でベストセラー作家になり、自分ひとりでは持て余してしまうくらいのお金と名誉を手に入れていた。彼女…