「好き」を仕事にするのは難しい。職場の環境にイライラしたときに開いてほしい『店長がバカすぎて』/佐藤日向の#砂糖図書館㊹
何かを意識的に継続する、というのは、簡単そうに見えて実際にはとても難しいことだ。この継続というのは日々の労働にも当てはまる。
今回紹介するのは、早見和真さんの『店長がバカすぎて』という作品だ。28歳の主人公・谷原京子はとにかく本が好きで、書店の文芸担当として働いている。京子の職場にいる店長は年上とは思えないほど抜けていて、京子は日々苛立ちを募らせている。そんな京子が書店員としての誇りを探し、働き続ける理由を見つける、痛快なストーリーだ。
私は幼い頃から芸能の仕事をしているため、アルバイトを経験したこともなければ、部活に所属した経験もない。だがこれまでの私の経験から、年上や年下は関係なしに、経験値というのはその人の強さと優しさを形成してくれる大切な一部だと私は思っている。
主人公の京子にとって本は特別な存在であり、ゲラを含め常に新しい小説を読んでいる。だが、いざ本を扱う仕事をするとなると、職場の環境が悪く退職をすべきか、自分の力で環境を変えるべきか迷うシーンが、何度も登場する。彼女が迷って悩んでいる姿は、読み手によっては「何でやめないんだよ!」と…