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「村山由佳」のレビュー・書評

昭和の猟奇殺人「阿部定事件」犯人の生涯をひもとく。「アベサダ」と記号化された女性を「懸命に生きた人間」として描いた村山由佳の新境地『二人キリ』

昭和の猟奇殺人「阿部定事件」犯人の生涯をひもとく。「アベサダ」と記号化された女性を「懸命に生きた人間」として描いた村山由佳の新境地『二人キリ』

私が「阿部定事件」を知ったのは、中学の社会の授業だったと記憶している。昭和11年5月18日、阿部定と名乗る女性が、愛人の石田吉蔵を絞殺し、殺害後に局部を切り落とし持ち去った。猟奇殺人として現代まで語り継がれてきた阿部定事件は、人物名と殺害方法ば…

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村山由佳デビュー30年・記念碑的エッセイ集。著者がはじめて明かす本音と、12の季節ごとに編まれた『記憶の歳時記』

村山由佳デビュー30年・記念碑的エッセイ集。著者がはじめて明かす本音と、12の季節ごとに編まれた『記憶の歳時記』

この世でもっとも敬愛する作家の名前を聞かれたら、迷うことなく「村山由佳さん」と答える。村山さんの作品に幾度となく魂を救われて、この年まで生きてきた。その村山さんが、デビュー30年の記念碑的エッセイ集『記憶の歳時記』(村山由佳/集英社)を上梓し…

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村山由佳、有栖川有栖ら7人が描く「猫」小説アンソロジー。種族の異なる生きもの同士の交流を描いた物語

村山由佳、有栖川有栖ら7人が描く「猫」小説アンソロジー。種族の異なる生きもの同士の交流を描いた物語

現在私は、山奥の古い一軒家を借りて暮らしている。聞こえるのは鳥と虫の声のみ。だが、そこに時々「にゃあ」という声が混じる。そう、猫である。この家に越してきて間もない頃から、黒と白のハチワレ猫が連日我が家を訪れるようになった。警戒心が強い子な…

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約160キロを馬と走る競技に向かう少女。陰湿ないじめと父の死を馬との対話を通して乗り越える壮大な物語『天翔る』

約160キロを馬と走る競技に向かう少女。陰湿ないじめと父の死を馬との対話を通して乗り越える壮大な物語『天翔る』

窮地に立たされた時、人は無意識に祈ってしまう。「神様、どうか助けてください」と。だが、その願いはいつも聞き入れてもらえるわけではない。村山由佳氏による長編小説『天翔る』(講談社)の主人公・“まりも”も、神様に「願いを聞いてもらえなかった」側…

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日々のすれ違いやセックスレスにより加速する心と体の渇き。時を重ねるごとに離れゆく夫婦の姿を描いた、村山由佳の長編小説『Row&Row』

日々のすれ違いやセックスレスにより加速する心と体の渇き。時を重ねるごとに離れゆく夫婦の姿を描いた、村山由佳の長編小説『Row&Row』

毎日一緒に暮らしたい。片時も離れたくない。通常は、そう思えるほど愛した人と「結婚」を決意するものだろう。しかし、いざ「毎日一緒」の生活がはじまった途端、互いのバランスが崩れ出す夫婦は少なくない。 “たまたま二本の線がぶつかったタイミングで、…

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長野県菅平の宿に集まる、痛みを抱えた人々。村山由佳による再生の物語『すべての雲は銀の…』

長野県菅平の宿に集まる、痛みを抱えた人々。村山由佳による再生の物語『すべての雲は銀の…』

村山由佳氏による小説『すべての雲は銀の…』(講談社)が出版されたのは、2001年11月。今からおよそ20年あまり前になる。私が著者の作品にはじめて出会ったのは、高校生の頃だった。最初に出会った作品は『翼 cry for the moon』で、私の人生を大きく変えた…

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村山由佳氏デビュー三十年記念作品。言葉を超えて生まれた「愛」を紡いだ短編集『ある愛の寓話』

村山由佳氏デビュー三十年記念作品。言葉を超えて生まれた「愛」を紡いだ短編集『ある愛の寓話』

1993年、『天使の卵エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞し、作家としてデビューした村山由佳氏が、今年デビュー30年を迎える。大きな節目を記念して、“原点回帰にして到達点”と謳われる短編集、『ある愛の寓話』(文藝春秋)が1月10日に刊行され…

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17歳で旅立った愛猫は、記憶の中で生き続けている! 感涙必至のエッセイ『猫がいなけりゃ息もできない』

17歳で旅立った愛猫は、記憶の中で生き続けている!  感涙必至のエッセイ『猫がいなけりゃ息もできない』

子どもの頃から、猫が好きだった。祖父母の家には、ほぼ野良と化した三毛猫がいて、名前は「ミミ」といった。週末に遊びに行くたび、私はミミと野原で遊び、多くの歳月を共に過ごした。 今現在、私は猫との生活が許されない状況にある。どういうわけか、20歳…

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