いつか死んでしまうすべての人へ贈る物語『不滅のあなたへ』――大今良時が描こうとしている“不滅”とは?
2020年10月よりTVアニメ化が決定したマンガ『不滅のあなたへ』。出会った人の感情や身体を獲得しながら“人間”になっていく、不死身の主人公・フシの物語。フシ以外が全員死んでいく、衝撃的で予測不能の展開が読者の心をつかんで離さない本作で、大今良時さんが描こうとしている“不滅”とは? その核心に、迫る。
(C)大今良時・講談社/NHK・NEP
TVアニメ『不滅のあなたへ』 NHK Eテレにて2020年10月より放送開始予定
それは最初、球だった。物理的に、あるいは精神的に、自分に刺激を与えたものにならば何にでも変化することのできるそれは、最初は石に、次はコケに、そして自分の上で息絶えたオオカミへと姿を変えた。やがて自分を愛してくれた飼い主の少年から、人間の言葉と感情を学ぶと、彼の姿に変じることとなる。〈僕のこと……ずっと覚えていて〉。そう言って孤独に死んだ彼の言葉を守るように、それは出会う人たちを器に変えて、その身に存在を刻みながら生きていく。決して死ぬことのない、不死身のフシとして。 聴覚に障がいのある少女と、かつて彼女をいじめて…