宅間孝行「映画、舞台、そして原作小説を手がけた『くちづけ』。それぞれの特性に合わせて作品を再構築」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。5月25日公開の映画『くちづけ』は、グループホームで暮らす知的障害を持つ娘とその娘を全力で守ってきた父親の物語。キーマンとなる役どころを演じたほか、原作小説、脚本を手がけた宅間孝行さんが持つ、舞台、映画そして小説へのこだわりとは?
映画『くちづけ』は、宅間孝行さんが主宰し、昨年惜しまれつつも解散した劇団「東京セレソンデラックス」で上演した作品を映画化したものだ。
「僕にとって、映画、舞台、そして原作小説は、 それぞれ全く別のものなんです。 同じ物語がもとになっていたとしても、 描くポイントはそれぞれ違ってくる。 僕の場合、舞台は ワンセットでの上演にこだわりがあるので、 その範囲内で動かすことのできる ドラマに絞り込みます。 映画は2時間程度のエンターテインメントという 縛りのなかで自由に場面を動かせますし、 小説はさらにいろいろと書き込める。 それぞれの媒体の特徴を生かして 再構築するのが僕の仕事でした」
今回の映画ではかなり舞台的な…