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沢木耕太郎

職業・肩書き
作家
ふりがな
さわき・こうたろう

受賞歴

最終更新 : 2018-06-08

1979年
『テロルの決算』第10回大宅壮一ノンフィクション賞
1982年
『一瞬の夏』第1回新田次郎文学賞
1985年
『バーボン・ストリート』第1回講談社エッセイ賞
1993年
『深夜特急 第三便 飛光よ、飛光よ』第2回JTB紀行文学大賞
2003年
第51回菊池寛賞
2006年
『凍』第28回講談社ノンフィクション賞
2013年
『キャパの十字架』第17回司馬遼太郎賞

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沢木耕太郎が「はじめての旅」で経験した「親切」とは?――最新刊『飛び立つ季節 旅のつばくろ』からエッセイを特別公開!

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「旅のバイブル」の名をほしいままにしている不朽の名作『深夜特急』(新潮文庫)。その著者、沢木耕太郎氏が北へ南へ、この国を気の向くままに歩き続けた「国内旅エッセイ集」、『飛び立つ季節 旅のつばくろ』(新潮社)の中から、極上のエッセイを一篇お送りします!

『飛び立つ季節 旅のつばくろ』(沢木耕太郎/新潮社)

*   *   *

旅のリンゴ

 旅先で出会う人には、「善い人」もいれば「悪い人」もいる。でも、どちらかといえば「善い人」の方が多いと思う。いや、もう少し大胆に言ってしまえば、私は「悪い人」にほとんど遭遇したことがない。そう、私は、旅における「性善説」の持ち主なのだ。

 十六歳のときの東北一周旅行では、上野から乗った奥羽本線の夜行列車を秋田駅で降りた。

 降りた私が、どのような行動をとったのかは覚えていない。いずれにしてもどこかで朝食をとったと思われるが、駅によくあるような立ち食いそば屋に入ったのか、売店で菓子パンでも買って食べたのか。

 わかっているのは、その朝、秋田駅から男鹿半島の寒風山に向かったということだけだ。

 しかし、情けないことに、何という名の駅…

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沢木耕太郎が愛する、片道3時間半もの「東京への旅」/『旅のつばくろ』④

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不朽の名作『深夜特急(新潮文庫)』(新潮社)が旅のバイブルと称される、作家・沢木耕太郎氏。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評連載していた「国内旅エッセイ」が『旅のつばくろ』(新潮社)として単行本化。その中から全4回で極上のエッセイを連載します。

『旅のつばくろ』(沢木耕太郎/新潮社)

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近くても遠いところ

 私が東京の小学生だった昭和三十年代、家族旅行はあまり一般的なものではなかったように思う。家族そろっての行楽という習慣がなかったということもあるが、どんな家も経済的にさほどの余裕がなかったのだ。  だから、学校で行楽地に行くことのできる遠足は子供たちにとって大きなイベントだった。何円までという制約の中で、おやつにどの菓子を買って持っていくか。母親の作ってくれる弁当が何なのか。前日から多くの楽しみと期待に満ちていた。  そのようにして、私も東京近郊のさまざまな観光地に行ったものだった。  高尾山、江の島、鎌倉の大仏、鋸山(のこぎりやま)……。  しかし、不思議なことに、そうした観光地は成人してからほとんど行くことのないとこ…

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沢木耕太郎が旅先で前代未聞の行動? その理由は「宮沢賢治」/『旅のつばくろ』③

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不朽の名作『深夜特急(新潮文庫)』(新潮社)が旅のバイブルと称される、作家・沢木耕太郎氏。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評連載していた「国内旅エッセイ」が『旅のつばくろ』(新潮社)として単行本化。その中から全4回で極上のエッセイを連載します。

『旅のつばくろ』(沢木耕太郎/新潮社)

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贅沢の効用

 そのとき、私にはとても珍しいことだったが、岩手の花巻でタクシーに乗っていた。  タクシーに乗るのがどうして珍しいことなのか?    私は浪費家でもないが、吝嗇家(りんしょくか)、すなわちケチというのでもないと思う。財布というものを持ったことのない私は、あればあるだけの金をポケットに突っ込み、ほとんど無造作に使い切ってしまう。要するに金の使い方に関してはかなり無頓着な方なのだ。  しかし、タクシーに使う金に関してだけは別である。臆病、と言ってもいい。  もっとも、つい最近まで、銀座や新宿の酒場で夜遅くまで飲み、家にタクシーで帰るなどということを日常的に続けていたが、そのときのタクシー代をもったいないと思ったことはない。…

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沢木耕太郎と、宮城で出会った料理人との粋な「縁」/『旅のつばくろ』②

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不朽の名作『深夜特急(新潮文庫)』(新潮社)が旅のバイブルと称される、作家・沢木耕太郎氏。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評連載していた「国内旅エッセイ」が『旅のつばくろ』(新潮社)として単行本化。その中から全4回で極上のエッセイを連載します。

『旅のつばくろ』(沢木耕太郎/新潮社)

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縁、というもの

 縁、というものがある。  眼には見えないが強く存在する何らかの関わり、というような意味と私は理解している。  この縁、人と人とを結びつけるものを指すことが多いが、地縁というように人と土地との間にも確かに存在するような気がする。  生まれ育った土地に縁があるのはもちろんだが、単なる旅先の土地であっても、そこに縁を感じたり、縁が生まれたりすることがある。    東京で生まれ育った私には宮城というところに特別の縁はなかった。だが、私の三十代の終わりの頃、ひとつの縁が生まれた。  当時、文藝春秋という出版社が文化講演会なるものを行っていた。教育委員会とか農協といった地元の受け入れ先の要請に従って、日本全国に作家を「派遣」…

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沢木耕太郎の「夢の旅」はダーツの旅?/『旅のつばくろ』①

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不朽の名作『深夜特急(新潮文庫)』(新潮社)が旅のバイブルと称される、作家・沢木耕太郎氏。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評連載していた「国内旅エッセイ」が『旅のつばくろ』(新潮社)として単行本化。その中から全4回で極上のエッセイを連載します。

『旅のつばくろ』(沢木耕太郎/新潮社)

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夢の旅

 ある時期までの日本では、ハワイへの旅が「夢の旅」の代名詞になっていた。私も少年時代、テレビの番組で「クイズを当てて夢のハワイに行きましょう」という司会者の言葉を何の違和感もなく受け止めていた記憶がある。  現代では、たとえどんなに遠くであっても行って行かれないことはなくなってきたという意味において、「夢の旅」というものが存在しにくくなっているように思える。  とすれば、現代の「夢の旅」は空間ではなく、時間を超えた旅、過去への旅ということになるのだろうか。  かつて私の「夢の旅」は、ヴェトナム戦争時のサイゴンと、一九三〇年代のベルリンと、昭和十年代の上海に長期滞在する、というものだった。どの街も爛熟した妖しい雰囲気を持った土地のよう…

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注目の新刊 『旅の窓』 ダ・ヴィンチ2013年7月号

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「旅の窓」とは、風景の向こうに自分の心の奥をのぞかせてくれるもの、と語る著者。アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸など81編の小さな物語が、心に静かに響く。また旅のワンシーンをそっと切り取った抒情的な写真も1点ずつ添えられており、印象的だ。

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注目の新刊 『わるいことがしたい!』 ダ・ヴィンチ2012年6月号

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主人公はいたずら好きの男の子。「わるいことがしたい!」と思った彼は、部屋を散らかしたり、オモチャを壊したり、食べ物をまき散らしたり。でも、思いっきりわるいことをした後は――。『深夜特急』などで知られる作家が手がけた、ワクワクドキドキの絵本。

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天路の旅人

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【旧版】深夜特急1 ー 香港・マカオ (新潮文庫)

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作家
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9784101235059
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一号線を北上せよ

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作家
沢木耕太郎
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ISBN
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夢ノ町本通り:ブック・エッセイ

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作家
沢木耕太郎
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