「信じる者はダマされる」?! 悩める子羊たちを惑わせる、中村うさぎとマツコ・デラックスの人生相談

『信じる者はダマされる うさぎとマツコの人生相談』(中村うさぎ、マツコ・デラックス/毎日新聞出版)
日本の諺には、キリスト教の聖書に由来するものが少なくない。例えば、「豚に真珠」は新約聖書のマタイの福音書7章からだし、「目からうろこが落ちる」は使徒行伝9章に見ることができ、「働かざるもの食うべからず」はテサロニケ人への第2の手紙3章に登場する。
週刊誌『サンデー毎日』誌上で連載されていた、『信じる者はダマされる うさぎとマツコの人生相談』(中村うさぎ、マツコ・デラックス/毎日新聞出版)のタイトルは、おそらくはヨハネの福音書3章の記述をもとにしたと考えられている「信じる者は救われる」のパロディであろう。
相談者に対する2人の回答に読者が期待するのは、やはり本音と毒舌から生じる突拍子のない結論だと思うし、私もそうだった。ところが、新入社員の女性の相談者で、「お前、使えねーな」などと先輩が上から目線で偉そうに接してくることへの対処法として、うさぎが思ってもいないことを言って相手を持ち上げる媚び作戦と、反対に全面戦争覚悟の「ナメんなよ、こら」みたいな…