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「中村文則」のレビュー・書評

死刑囚の看守を通して描く「罪を犯す側と踏みとどまる側の境界線」。衝動と理性のはざまで揺れる中村文則の長編小説

死刑囚の看守を通して描く「罪を犯す側と踏みとどまる側の境界線」。衝動と理性のはざまで揺れる中村文則の長編小説

テレビや新聞で犯罪者の報道を見るたび、その人たちと自分との境界線はどこにあるのだろう、と考える。なぜ、こんなことを。そう思う一方で、私も何かがほんの少し違っていたら、“あちら側”だっただろうとも思う。 “あちら側”と“こちら側”。その境界線は、ひ…

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戦争、テロ、差別…恐ろしい未来が現実になるかも!? ディストピア小説『R帝国』が再注目される理由

戦争、テロ、差別…恐ろしい未来が現実になるかも!? ディストピア小説『R帝国』が再注目される理由

不穏なニュースばかりが世の中に溢れかえっている。どうしたら明るい未来を描けるのか。先行きが見えない日々に途方に暮れる人も多いだろう。 こんな時勢だからだろうか、今、中村文則氏の『R帝国』(中央公論新社)が再び注目されているらしい。『アメトー…

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あなたが子どもの時、言葉にできなかった「モヤモヤ」が物語としてよみがえる! 西加奈子『円卓』3つの読みどころ

あなたが子どもの時、言葉にできなかった「モヤモヤ」が物語としてよみがえる! 西加奈子『円卓』3つの読みどころ

『円卓』(西加奈子/文藝春秋)は、祖父母と両親、そして三つ子の姉たちに愛されて育った末っ子でありながら「孤独」を愛し、大らかで優しい家族たちを「凡人」「阿呆」と蔑む、偏屈で口の悪い小学3年生の女の子、渦原琴子(うずはら・ことこ)――愛称「こっ…

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「朝、目が覚めると戦争が始まっていた」――『教団X』の衝撃再び! 戦争に突き進む近未来の世界を描き出した、中村文則最新作『R帝国』

「朝、目が覚めると戦争が始まっていた」――『教団X』の衝撃再び! 戦争に突き進む近未来の世界を描き出した、中村文則最新作『R帝国』

戦争の足音が聞こえる気がする。すべて杞憂ならばいいが、世界の不穏な情勢に不安な日々を過ごす人は少なくはない。こんな世の中であるからこそ、ディストピア小説にブームが来ているらしい。アメリカでは、トランプ政権発足以来、ディストピア小説の名著ジ…

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【ダ・ヴィンチ2017年2月号】今月のプラチナ本は 『i(アイ)』

【ダ・ヴィンチ2017年2月号】今月のプラチナ本は 『i(アイ)』

『i アイ』 ●あらすじ● シリアに生まれ、アメリカ人の父と日本人の母のもとへ養子としてやってきたワイルド曽田アイ。アイの家庭は裕福で、両親は優しく、つねにアイの意志を尊重してくれる。しかしアイは物心ついたときから、恵まれた自身の環境を思うたび…

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大江健三郎賞受賞作にしてエンタメとしても高得点の哀しく熱いスリ・ノワール

大江健三郎賞受賞作にしてエンタメとしても高得点の哀しく熱いスリ・ノワール

主人公は若き天才スリ師。 1日の稼ぎは数十万に上ることもあるが、決してやりすぎず、目立たぬように、狭いアパートでひっそりと孤独に暮らしている。 かつて、仲間を失い、恋人を失って東京を出た彼が、舞い戻ってきたとき、再び悲劇の幕があがる。 物語は…

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