「天才」であるマンガ家を世に知らしめるのが編集者―彼らが果たす、その役割とは?
『“天才”を売る 心と市場をつかまえるマンガ編集者』(堀田純司/KADOKAWA)
マンガ家にとってマンガ編集者とは、おそらく誰よりも身近な存在であろう。例えば『週刊少年ジャンプ』で連載された『Dr.スランプ』に登場する悪役「Dr.マシリト」は、作者・鳥山明氏の担当編集だった鳥嶋和彦氏がモデルであったように、まさしく作品自体に影響を与えていた。もっとも、当時は「ボツ!」を告げる印象が強く、それが編集の仕事のように思えたものだ。しかし、この『“天才”を売る 心と市場をつかまえるマンガ編集者』(堀田純司/KADOKAWA)を読めば、編集者が如何に作品づくりを支えているのかが理解できる。
本書の著者・堀田純司氏は作家でありながらベテラン編集者でもあり、ネット上で話題となった『生協の白石さん』を企画編集した人物。そんな氏が自ら現役のマンガ編集者8人にインタビューを行ない、彼らの生の声を引き出している。中でも特に注目したいのは『週刊少年ジャンプ』で『火ノ丸相撲』を担当する編集者・小池均氏と、そのライバル誌である『週刊少年マガジン』で『リアルアカウント』を…