“田中角栄を殺した男” はいったい何者なのか? 永田町の舞台裏、政争・駆け引きのリアルを教えてくれるドキュメンタリー
『政争家・三木武夫 田中角栄を殺した男(講談社+α文庫)』(倉山満/講談社)
2016年の日本の出版界は、故・田中角栄元首相の回顧ブームに沸いた。そのきっかけを作ったベストセラー小説が、石原慎太郎氏の『天才』(幻冬舎)だった。政治史を何も知らない人から見れば、石原氏はさぞかし田中氏に近い政治家だったのかな、などと思うだろう。しかし事実は違うようだ。むしろ田中内閣時代、その金権体質の政治を痛烈に批判した急先鋒こそ、石原氏だったのだ。そんな政治家たちの、国民は決して覗くことのできない舞台裏、政争・駆け引きのリアルを教えてくれるのが、『政争家・三木武夫 田中角栄を殺した男(講談社+α文庫)』(倉山満/講談社)だ。
本書の主人公、故・三木武夫氏(1907年3月17日―1988年11月14日)は、田中氏の直後となる第66代内閣総理大臣に就任した政治家だ。米国留学を経て1937年に30歳で明治大学を卒業するや、すぐに衆議院選挙に無所属で立候補して当選。その後、死去まで51年間連続在任するという、まさに生涯政治家だった人物である。
本書は、政治家三木氏の評伝で…