「男の子が大人になるまでに受ける傷の蓄積は、かなりのもの」――父親になることから男らしさの呪縛まで、白岩玄さんと田房永子さんが語る!
妻が突然亡くなり、4歳の娘を突然ひとりで育てることになった恭平。シッターとして働きながら、1歳半の息子を育てている章吾。正反対のシングルファーザーが、同居生活を始めたら……?
白岩玄さんの新刊『プリテンド・ファーザー』(集英社)は、ケアとキャリアの狭間で揺れる男性を描き、これからの父親像を模索する意欲作。白岩さん自身も2児の父親とあって、男性が抱える育児の問題を細やかに描き出している。
この小説の刊行を記念して、育児やジェンダーについて執筆するマンガ家・エッセイストの田房永子さんとの対談が実現。小説の感想にとどまらず、育児の葛藤、男らしさの呪縛、性教育のあり方など縦横に語り合っていただいた。
(取材・文=野本由起 写真=川口宗道)
「『男は泣くもんじゃない』と自分に縛りをかけて育ってきました」(白岩)
──おふたりは初対面だそうですが、ネット上ではメッセージをやりとりされていたそうですね。
田房永子さん(以下、田房):『対抗言論』という評論誌に掲載されていた白岩さんのエッセイが、すごく面白かったんです。私の本も読んでもらいたいなと思って『なぜ親はう…