土村 芳「大好きな西加奈子さん作品との出会いは、中学生の時のすてきな偶然でした」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、舞台『母に欲(ほっ)す』に出演する土村芳(つちむらかほ)さん。彼女流の読書のこだわりとは?
亡くなった母、新しく来た母をめぐり、男だけの一家に静かなさざ波が立ち始める――劇作家・三浦大輔が長年温めてきた“息子にとっての母親”というテーマに迫る舞台『母に欲す』。ベテラン俳優たちのなかで、土村さんは今「吸収の毎日」だという。
「三浦さんが“集大成”とおっしゃる作品に出演させていただくのは、本当に光栄なこと。この舞台から日々吸収していることは、必ず次のステップにもつながっていくと思っています」
今回選んでくれた『ふくわらい』からも、たくさんのことを受け取ったという。実は、候補に挙げてくれた3冊すべてが西加奈子作品だった。
「西さん、大好きなんです。出会いは中学生のとき。テスト勉強の最中に現実逃避をしたくなって(笑)、本屋さんへ出かけたんですね。それまで本はあんまり好きではなくて、いつも最後まで読むことができなかったんで…