街全体が息苦しい「東京」への魅力もなくなり、とにかくつまらなくなった…乳癌治療、離婚を経た40代独身女性による小豆島移住顛末記
『漂うままに島に着き』(内澤旬子/朝日新聞出版) 『漂うままに島に着き』(内澤旬子/朝日新聞出版)は、香川県の小豆島に一人、移住することを決めた40代女性である著者の、移住前後の日々について綴られた地方移住顛末記である。
著者の出身は神奈川県の湘南エリア。その後は東京23区内で暮らしており、いわゆる「田舎」「地方」にはあまり縁がなかった。しかし、「すっからかんの何もない静かな部屋で暮らしたい」という想いを募らせ、縁があって香川県の小豆島に移住することに。
地方移住を決めた理由は、他にもある。「以前よりも東京全体に魅力を感じなくなっている」「東京がつまらなくなってしまった」からだ。そう思うようになった理由としては、著者は「年齢のせいか」とも言及するが、一番の要因は「東日本大震災」が大きかったようだ。
東京は、うまく言えないけれど、何かを失ったのだ。
(震災から)二年経って賑やかさが戻って来た東京は、「何事もなかった」体を装いつつ、なんとなくギスギスして映った。室内だけじゃなくて、街全体が息苦しい
東京への魅力も感じなくなり、とにかく「つまらなく…