娘を奪われた母親の救いなき人生、その先には? 『グッドナイト』が描く、新しい「母と子」の物語
『グッドナイト』(南Q太/祥伝社)
漫画や小説、ドラマに映画など、世の中にはさまざまなフィクションがあふれているが、そのなかでたびたびモチーフとして扱われるのが「母と子」の関係ではないだろうか。ここ数年では、“誘拐”をテーマに血の繋がらない母と子の絆を描いたドラマ『MOTHER』や、映画にもなった小説『八日目の蝉』(角田光代/中央公論新社)などが記憶に新しい。また、子を支配する「毒母」を描いたエッセイ本なども、最近数多く出版されている。
このたび登場したマンガ『グッドナイト』(南Q太/祥伝社)も、母と子の関係を描いた作品。ただし、ここに描かれているのは、あまりにもツラい物語だ…。
主人公は、ちょっとくたびれた感が漂う主婦の晴子。この晴子の「嫁」としての人生は、両手を挙げて幸福と言えるようなものではない。「昔ながらの」という形容がしっくりくる姑は、ことあるごとに晴子に冷たくあたったのだ。父親がいない晴子が結婚前の挨拶に訪れた際には、「うちの息子はどんな方でも嫁にもらえるのに」と吐き捨て、結婚してからは奴隷のような扱いを強いた。それでも健気に頑張る晴…