二階堂ふみさんが選んだ1冊は?「日常に隠れているものを見つけられる大人になりたい」

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、二階堂ふみさん。 (取材・文=河村道子 写真=TOWA)
「私の“ふみ”って、実は檀ふみさんの“ふみ”なんです。母が大好きで、檀ふみさんのようになってほしいという思いから名付けたそうです」
ゆえに檀ふみさんへの思いは格別。折々に触れてきた名エッセイのなか、携えてくれたのは、住まいを巡る思いとそこに息づく父・檀一雄の思い出を綴った“家”にまつわる一冊。 「お父様が最後に住んだ博多湾を望む能古島の家について書かれた冒頭の一編からは、父娘の心地良い距離感に、くすっと笑いながらもふいに涙が零れてきました。お父様の死後、みずから建て直し、暮らしている、家族の思い出詰まる石神井の家の話からは、欠陥あるものにも愛着を持つことの豊かさが見えてきました」 私の中には「生活すること」を愛した父の魂が息づき始めている――。作中に宿る著者の思いは、今、自身にも「息づき始めている」。 「自分がどういう生き方をしたいかと考えたとき、…