セックス=抜け道の真意とは?『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』 二村ヒトシ監督インタビュー(3)
「川原泉の新作が出るというので『ダ・ヴィンチ』が取り上げたり、萩尾望都が『ポーの一族』の新作を出したりと、“あの頃”の少女マンガが今熱いんですよ。しかも『マンガ家生活◯周年』という懐メロではなく、今の我々の問題として読める、というね」と少女マンガについて熱く語る、アダルトビデオ監督の二村ヒトシさん。少女マンガと現代人の問題に鋭く斬り込む『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』について伺うインタビュー。最終回は「セックス=抜け道」の真意などについて伺います。
■『綿の国星』で描かれた、心の中の“異性”
初めて少女マンガを論じたと言われる、1979年に出版された評論集『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』(橋本治/河出書房新社)に影響を受けたという二村さん。著者の橋本治が「史上稀に見る“美しい作品”」と評した『綿の国星』を、二村さんも「傑作! 文庫で全4巻だから、みんな読むべき!」と大絶賛する。捨てられていたチビ猫が須和野家で飼われることになるファンタスティックな作品で、このマンガに登場する猫は「猫耳」のある人間の姿で描かれており、人の言葉を…