妖魔の巣を総攻撃!? 作戦はうまくいくのか…/板倉俊之『鬼の御伽』⑤
お笑い芸人・板倉俊之(インパルス)が、新解釈で新たな御伽噺を紡ぐ最新作『鬼の御伽』(ドワンゴ:発行、KADOKAWA:発売)。本連載では、有名な童話「泣いた赤鬼」を、オリジナル要素をふんだんに盛り込んで新たなエンタメに昇華させた「新訳 泣いた赤鬼」の冒頭を5回に分けて試し読み。
『鬼の御伽』(板倉俊之 :著、浅田弘幸:装画/ドワンゴ:発行、KADOKAWA:発売)
第三章 「そろそろ、奴らと決着をつけようと思っておる」 掛け軸を背に、雷閃の正面に座している長老は、のんびりとした口調で言った。 「いつまでも、妖魔の脅威に怯えながら暮らすわけにもいかんからのう」 長老の目は白い柳のような眉に隠れているため、どこを向いているのか窺えない。右手の縁側から射し込む日光が、烏帽子を被った長老の影を畳に映している。 「それはわかりますが、しかし、どのようにして」 雷閃は正座を崩さぬまま訊く。先刻、使いの者を通じて長老の屋敷に呼び出されたのだった。 「それはな」 長老の横に立つ浄羅が口をひらいた。彼は長老と最も密にやりとりをしている、村の参謀である。髪も眉も…