尾上菊之助さんが選んだ1冊は?「日常の中で見逃してしまう自然の息吹や、人の心の豊かさを思い出させてくれる一冊」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年3月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、尾上菊之助さん。 (取材・文=倉田モトキ 写真=booro)
「風光明媚な写真とともに、著者が思う、いつまでも残しておきたい日本人の心の在り方が短いエッセイの形で綴られている。そこに魅力を感じ、思わず手にとった一冊です」 作者は長らく奈良の春日大社で神主職を務めていた岡本彰夫氏。〝人間にとっての本当の幸せとは何か〟を説いた、現代人に向けた指南書だ。 「最近、仕事のご縁で子供と一緒に白神山地に行く機会が増えたんです。自然の中に身を置くと、山があり、多くの生き物がいて、当たり前のように命の営みが行われていることに気づく。時間の流れが速い日常の中にいると季節の移り変わりすら感じず、心がおざなりになってしまいますが、何気ないものから命の息吹を感じるという古来受け継がれる日本人らしさや、そんな時間こそが生活を豊かにしていく大切さを、この本で改めて…