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不来方優亜

職業・肩書き
タレント・その他
ふりがな
こずかた・ゆあ

プロフィール

最終更新 : 2018-06-08

ライター

「不来方優亜」のおすすめ記事・レビュー

  • レビュー・書評

人間には向かない職業――死神は世界に羽ばたく

人間には向かない職業――死神は世界に羽ばたく

その職業、死神。 対象の人間が死ぬ8日前に派遣され、その人間が死ぬことが可か不可かを調査し、報告する。可であれば対象は死に、不可と報告すれば、死は回避される。 この連作6話の語り手、通称・千葉も死神である調査員の一人。

まるでスパイ・エージェントか探偵のように、対象の人間を観察するのだが、なにしろ人間ではないので、言うことがいちいち(我々人間からしてみれば)ズレている。 たとえば、地味女子が「わたし、醜いんです」と言えば、「いや、見やすい」と答え、恋心を指摘されて恥じらう青年に「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは、渋滞だ。それに比べれば、かたおもいなんていうものは大したものではない」と諭す。 調査はあくまで仕事なので、この人間に思い入れて不可にする、ということはない。その判断はスーパークールだ。でも、人間がわからんと言いながら、ちょっとだけ彼を揺らすなにかがそれぞれの物語に込められていて、その揺らぎの瞬間にグッときてしまう。 これってツンデレ?物語に死神目線を与えた設定の妙だ。 ちなみにこの探偵っぽい死神が、雪…

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大江健三郎賞受賞作にしてエンタメとしても高得点の哀しく熱いスリ・ノワール

大江健三郎賞受賞作にしてエンタメとしても高得点の哀しく熱いスリ・ノワール

主人公は若き天才スリ師。 1日の稼ぎは数十万に上ることもあるが、決してやりすぎず、目立たぬように、狭いアパートでひっそりと孤独に暮らしている。 かつて、仲間を失い、恋人を失って東京を出た彼が、舞い戻ってきたとき、再び悲劇の幕があがる。

物語は、主人公が仲間と行なった大仕事を中心とした過去パートと、東京に戻ってきてからの現在パートが重層的に語られる。過去パートの爆発するような暴力性と対象的に、現代パートでの子どもスリとのふれあいを通して主人公が獲得していく絆の温かさが、その後のさらなる悲劇をいやおうなく予感させて、本当に胸が痛くなるのだ。 随所にちりばめられた、濁り水や、鉄塔といったメタファーがその不安感をさらに盛り上げていく。 リーダビリティを上げるのは不安感や墜落感だけではない。主人公のその天才的なスリ技術への未知の職業への興味と、難しい相手に気づかれずにいかにして掏るかというミステリ的な攻略の興味が同時に描かれている。 そして、高くそびえる黒い塔のように主人公を遠くから近くから脅かす絶対的な悪の存在――この魔手から逃れるために主人公が足掻…

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女子が読んでもお得感満載の単純で美味しそうなおつまみレシピ

女子が読んでもお得感満載の単純で美味しそうなおつまみレシピ

オトコのつまみである。「オトコ」の。 …はい、女子ですけど、なにか。 《R25》は決してメンズだけの雑誌じゃなかったんだから、この《R25》の人気連載から派生した『オトコの旬つまみ50』をアタシが楽しんだっていいはずよ。    実際、この値段でこの出来栄えは、財布の紐を引き締めがちな女子感覚としても超お買い得といわざるをえない。   まず…、 1.目次が見やすい。写真入りで、「旬」(季節ごと)、あるいはボタン操作により「お酒との相性」(焼酎やビール、ワインなど)に分類され、項目をタップすることで、望みのレシピを呼び出せる(ちなみにこの項目分けで「ランダム」ボタンがあるのはR25的遊び心か)。    2.レシピが単純明快で実践的。メインの作り方なぞ、ほぼ150字程度で解説している。みじか! 凝って気どった料理でないのもグッド!    3.レシピの画面下にPointボタンがあって、タップすると拡大して、ちょっとしたコツなや工夫を教えてくれる。しかも、「~するとリスクが減るわ」「上手になってね」などと、ちょっと恋女房風な口調もたまらん。 …

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ゲゲゲのご家族あったか対談。夫と父、水木さんの両面が見られる!

ゲゲゲのご家族あったか対談。夫と父、水木さんの両面が見られる!

『ゲゲゲの女房』ファンのみなさま、いま現在のゲゲゲ一家にご興味はありませんか? 本書は、水木しげるさんの対談集『水木しげる ゲゲゲの大放談』(紙書籍で2010年6月に発売)から、“ゲゲゲの女房”こと武良布枝さんとの夫婦対談と、水木さんの次女で、水木プロダクションに所属し、『お父ちゃんと私 父・水木しげるとゲゲゲな日常』などの著書もある水木悦子さんとの父娘対談が抜粋されて、電書『水木しげる ゲゲゲの大放談~ゲゲゲの女房&ゲゲゲの娘~』としてまとめられたもの。

まず夫婦対談は、キャラたちまくりの水木さんが、しょっぱなから放屁の話をぶちかまして、『ゲゲゲの女房』ドラマ化に言及したインタビュアーを煙に巻こうとする。フハッの連続で、音色や匂いで屁にランクがあったり、水木さんの父親や兄の屁談義まで出てきて、リアル・ゲゲゲの家族話だぁ! と、感動(タイトルの「放談」はやはり屁と関係してるのだろうか)。そしてそんな水木さんを、さりげなく布枝さんがフォローするという…ご家庭での現在も続くいい関係性も垣間見えるのだった。さらに注目すべきは、父娘対談では、夫婦対談のと…

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あの古典伝奇小説が桜庭一樹の手で生まれ変わる。電書用ボーナストラック盛り沢山!

あの古典伝奇小説が桜庭一樹の手で生まれ変わる。電書用ボーナストラック盛り沢山!

桜庭一樹と言えば、読書の鬼にして、その小柄な身の内に豊穣な物語をたくさん詰め込んだ、人間物語製造工場だ。恩田陸などもそうだが、桜庭一樹も本歌取りをしつつ、オリジナリティ溢れる作品に仕上げるのが非常に上手く、今回も名作古典、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』を見事に自作として昇華している。著者にとっては、初の週刊誌連載作品にして初の時代小説だが、唸る桜庭節は健在だ。 舞台は馬琴が『里見八犬伝』を書いている時代の江戸。「伏」と呼ばれる犬人間(!)が跋扈し、「伏」を狩ることで賞金を稼ごうとする者たちが江戸に集結しつつあった。14歳の少女猟師・浜路は、先に江戸入りしていた兄を頼って上京。小さくて可愛らしい外見にかかわらず、浜路は骨の髄まで猟師で、大きな猟銃をかついで研ぎ澄まされた猟師のカンと身軽さを武器に「伏」を追う。だが、「伏」たちと命のやり取りをするなか、次第に「伏」たちの抱える悲しい業を知ることに…。桜庭作品のよいところである、善きものも悪しきものも、美しいものも醜いものも渾然一体となった混沌の魅力がここでも発揮されており、色白で切れ長の瞳の美…

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電子書籍時代対応のベストセリング・ミステリ上陸!

電子書籍時代対応のベストセリング・ミステリ上陸!

翻訳小説って、版権の煩雑な問題があるのか、なかなか電書にならんのう、と思っていたら、全米ベストセラー作家で日本でも大人気(『ミステリが読みたい! 2011年版』のゼロ年代のベストミステリの作家部門で1位だった)のディーヴァーさんの最新作がいきなりなっちゃった。 映画化された『ボーン・コレクター』で有名な四肢麻痺の科学捜査官リンカーン・ライム・シリーズからのスピンオフ、キネクシスという行動分析学の権威で、「人間嘘発見機」の異名を取るキャサリン・ダンス捜査官のシリーズ第2作だ。

シリーズ2作目からでも問題なく楽しめるのはもちろん、本作が日本でのディーヴァー電子化第1作というのには、充分意味がある。 まず簡単に内容をご紹介すると―― 路上に手製の十字架を立てて殺人予告をする、連続殺人鬼が現われた。すんでのところで救われた被害者は、地元の有名ブログ上で、ネットいじめをした少女たち。いじめの被害者だった少年が容疑者として浮かび上がるが、少年は失踪していた。得意のキネクシスを駆使し、嘘をつく関係者たちから情報をひきだしてなんとか犯行を食い止めようとするダン…

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直木賞に新風を吹き込んだ、じんわりあったかハードボイルド風味都市小説

直木賞に新風を吹き込んだ、じんわりあったかハードボイルド風味都市小説

多田便利軒。 ラーメン屋ではない。 子どもの送り迎えから、ペットの世話、窓の修理など、時給2000円でよろずお困りごとを引き受ける便利屋さん。まちがっても探偵ではない。「犯罪に加担しているやつを見かけたら、おまえどうする」「放っとく」これが基本スタンス…の、はずだった。

ひとり、故郷のまほろ市で便利屋を始めた多田啓介は、持ち前の生真面目さでそれなりに穏やかな日々を過ごしていたが、高校の同級生・行天(ぎょうてん)春彦との再会で思わぬ方向へ。多田は、事務所に居ついてしまった行天を相棒に、便利軒に持ち込まれるまほろ市の人々のささやかな願いをかなえるべく、今日も愛用の軽量トラックで街を走る。 全6話の連作短篇集で、縦軸に便利軒が関わる事件を、横軸に多田、行天という二人の男の謎を絡め、エピソードを積み重ねて「まほろ市」という架空の街を描いていく。 多田、行天がハードボイルドにカッコよい! ハードボイルドに定義はいろいろあるけれど、私は男の痩せ我慢的クールだと思うの。過去を秘めた彼らは、ヒーローになろうなんて思想はないが、目の前で助けを求める人のことは放っ…

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映画化でも話題の王道ミステリにしてアンチ・ミステリ!

映画化でも話題の王道ミステリにしてアンチ・ミステリ!

「ミステリはお好きですか」 できれば、ハルコさん((C)SLAM DUNK)風に可憐に訊いてほしい。 「大好きです、ヲタクですから!」と握りこぶしで答えよう。 いや、別にこの本が、ヲタクのひとじゃなきゃ、受け入れられない本ではないのです。むしろミステリマニアへの愛憎が入り混じった仕上がりで、マニアの人はニヤニヤ&ズクズクと、そうでない人は、とんでもねぇことが起きてんな!と楽しめるつくりです。 この11月、藤原竜也主演で映画化公開しているので知っている人も多いかもしれませんが、あらすじをご紹介。 時給11万2千円の超高額バイト。それが、ある人文科学的な実験のモニターとなることで得られるという。さまざまな理由で応募した12人の男女は、謎の施設〈暗鬼館〉で7日間隔離され、やがて殺人ゲームを強いられることに。女にモテたい→車が必要→お金がほしい一心でモニターとなった学生、結城理久彦(ゆうきりくひこ)は、1週間を生き抜くことができるのか? まず〈暗鬼館〉の造詣に大興奮! さまざまなバリエーションで提示される殺害方法、東西の名作古典ミステリの思わ…

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