柄本佑さん「妻にちゃんと伝えたのは1回」×平野啓一郎さん「父親が死んだ36歳になった時に書きたいと思った」ドラマ『空白を満たしなさい』特別対談
柄本佑さんが主演を務め、阿部サダヲさんの怪演も話題の土曜ドラマ『空白を満たしなさい』(NHK総合)。第1話のNHKオンデマンド視聴数は、大河ドラマを除くドラマ第1位(放送以来7月20日時点)と高い注目を集めていることがうかがえる。3年前に亡くなった柄本さん演じる徹生が突然生き返り、戸惑いながらも自分が死んだ理由を探していくという本作の原作を手掛けたのは『マチネの終わりに』や『ある男』で知られる小説家平野啓一郎さんだ。そこで、柄本さんの原作との出会いや平野さんのドラマを観た感想など、お二人に話を伺った。 (取材・文=立花もも 撮影=川口宗道)
愛する人を失ったとき生まれる、もっともシンプルな“もう一度会いたい”という想い
平野啓一郎さん(以下、平野) ドラマ、非常におもしろく拝見しています。柄本さんが演じる主人公の徹生は、3年前に死んだはずなのに生き返った「復生者」という設定。小説と違ってドラマでは、徹生が復生する以前から全国的にその現象が知られているという設定になっていますね。徹夫の再生後の手続きのために、役所の人間がやってくる、という場面は興…