山本周五郎の『ちいさこべ』を望月ミネタロウが“ザ・古風”に新解釈
昭和の小説家・山本周五郎の『ちいさこべ』を、『バタアシ金魚』や『ドラゴンヘッド』の望月ミネタロウが現代風に新解釈。映画化、舞台化、ドラマ化などがされている名作を、作者が大胆にリメイクした意欲作であり、望月ワールドの新境地が開かれています。
演出や間、構図などで独特な空気感を描くことから“描写の天才”ともいわれる作者が「望月ミネタロウ」名義で挑むのは、奇をてらうのではなく、真っ直ぐな人情物語。工務店「大留」の若棟梁を務めるガンコな茂次と、孤児たちを引き取り育てるこちらもガンコなりつが、周囲のさまざまな感情に抗いながら意地を貫いていきます。現代風解釈でありながら、ときに“古風”ともいわれる日本人の芯の強さ、そしてなにものにも勝る美徳である人情が、心地よいくらいの直球で描かれます。
火事で両親を突然に亡くし、一癖も二癖もある大工たちをまとめ上げる若い茂次と、茂次はじめ周囲の人間に反対されても孤児たち(こちらも一癖も二癖もある)を見捨てないりつとの意地と意地のぶつかり合いであり、そしてもしかしたら同時に、原作のよさをいかに現代に伝えるかという山本周五郎…