『インストール』『蹴りたい背中』…鮮烈なデビューから20年! 綿矢りささんが次に書きたいのは「悪い人」が主人公の小説!?
撮影=新潮社 青木登
綿矢りさ氏の作家デビューは鮮烈だった。高校2年生の時に書いた『インストール』で文藝賞を獲得し、19歳にして『蹴りたい背中』で芥川賞を最年少受賞。一時期執筆に難渋していたものの、映画化もされた『勝手にふるえてろ』(2010年)、大江健三郎賞を受賞した『かわいそうだね?』(2011年)あたりから、傑作をコンスタントに量産する無双モードに突入。第26回島清恋愛文学賞を受賞した『生のみ生のままで』では女性同士の恋愛を描き切っていた。そして、作家デビュー20周年を迎えた今年、『オーラの発表会』(集英社)を上梓。これがまた、綿矢が作家として新たなフェイズに足を踏み入れたことを実感させる傑作だ。9月28日には2020年の日記をまとめた『あのころなにしてた?』(新潮社)も刊行する綿矢氏に、主に『オーラの発表会』について話を聞いた。
(取材・文=土佐有明)
『オーラの発表会』(綿矢りさ/集英社)
――『オーラの発表会』の主人公で大学生の海松子(みるこ)は、綿矢さんの過去作には出てこなかったタイプのキャラですね。学食で学生の口臭を嗅いで、どの料理…