7人の敗者たちから描く宮本武蔵の真の姿は――木下昌輝『敵の名は、宮本武蔵』
『敵の名は、宮本武蔵』(木下昌輝/KADOKAWA)
剣豪・宮本武蔵の真の姿を、7人の敵側の視点から焦点を当てた『敵の名は、宮本武蔵』が、2017年2月25日(土)に発売された。
同書の著者・木下昌輝は、2014年にデビュー作『宇喜多の捨て嫁』が第152回直木賞候補に、2017年2月には『天下一の軽口男』が第38回吉川英治文学新人賞候補になるなど、今注目の作家。
これまで敗者に光を当ててきた木下が今回選んだのは、剣豪・宮本武蔵。今までに武蔵を題材にした作品は無数にあったが、一人で武者修行の旅に出ていたことは描かれていても、「大勢の弟子を引き連れた」という史実はほとんど扱われてこなかった。同書は吉岡憲法や佐々木小次郎など7人の敵(=敗者)から見る武蔵像という新たな視点で、読みごたえのあるエンターテインメントとして描き上げ、木下自信も「勝敗を超越した勝負がある!!」と自信を覗かせる渾身の歴史小説だ。
また書道家・武田双雲は同書を「こんなにも多様な角度から宮本武蔵を描いた作品は初体験だ。心を突き刺す物語」と絶賛し、文芸評論家の末國善己も「7つの物語の先にある武…