注目の新刊 『ひとりの体で』(上・下) ダ・ヴィンチ2014年2月号
作家になりたい、そして美しい図書館司書とセックスしたい、と願った13歳のビリーは、やがてハンサムで冷酷なレスリング選手にも惹かれるようになる。性的少数者として生き70歳を目前にしたバイセクシュアルの小説家が、一人称でつづる半世紀にわたる生と性の物語。
作家になりたい、そして美しい図書館司書とセックスしたい、と願った13歳のビリーは、やがてハンサムで冷酷なレスリング選手にも惹かれるようになる。性的少数者として生き70歳を目前にしたバイセクシュアルの小説家が、一人称でつづる半世紀にわたる生と性の物語。
オバマが同性愛婚を認めたタイミングとも相まって、バイセクシュアルの主人公を扱うジョン・アーヴィングの新作が話題を集めている。
そのアーヴィングがインタビューに応じた、NYタイムズ電子版記事がおもしろい。ディケンズへの崇拝で有名な人らしく、自分の人生を変え、作家を志すきっかけとなった本として『大いなる遺産』の名を挙げる。本については、「ゆっくりと読む」アーヴィングだが、気に入った本は再読をし、物語の構造がどうなっているかを見るとか。
逆に失望させられ、過大評価されていると感じるのが、あのヘミングウェイ作品。経験に基づく執筆、タフガイ的なイメージ、平易さを求める文章表現。そんな理由から、いくつかの短篇以外はどれも気に入らないと辛口な評価を下す。「好きと思う作家は会うより、その人の本を読む方がいい」と答えるアーヴィング。自宅を何度か訪ねて、アーヴィングに直接インタビューした経験を持つ筆者としては、そうだったのか、と思うのでありました。
文=新元良一 (ダ・ヴィンチ8月号「出版ニュースクリップ」より)
ニューハンプシャーの小さな町から、ボストン、そしてトロントへ。愛と暴力と偶然に翻弄されながら北米大陸を逃避行する、料理人とその息子。やがて息子は作家になり、親になる。『ガープの世界』などで知られるアメリカ文学の巨匠が贈る、半自伝的大長編。
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