思いや意図が伝わる1行が書かれているか? 企画書から始まるノンフィクションドラマ
『企画書は1行』(野地秩嘉/光文社)
思いは人を動かす。書籍『企画書は1行』(野地秩嘉/光文社)を読むと、そう気付かされる。本書は、タイトルこそ企画書の“ハウツー本”のようではあるが、実際は、企画書により世の中の様々なプロジェクトが動き出すまでの過程を追った“ノンフィクション”である。「企画書は1行」の意味は、わずか1行で完結するということではない。著者は「実現に結びつく企画書を見ると、どれもひとつの共通点を持っている。それは企画の意図が一行もしくはひとつの言葉で伝わること」だと述べる。
30歳での転機「オレは一生、屋台を引くのはイヤだ」 大手企業から個人まで、実際に企画書が人の心を動かした実例を18篇収録した本書。なかでも、身近に想像しやすい事例を取り上げた1篇、【東京・恵比寿「たこ」店主 柳瀬俊之「一生、屋台を引くことはできない」】は、強く心に残った。
銀座の屋台でたこ焼きを売り歩いていた店主が「恵比寿界隈で名だたる繁盛店」の経営者として成功するまでの背景を追った話だ。なお、内容は2006年6月に本書が出版された当時にもとづく。
店主の柳瀬氏…