『テルマエ・ロマエ』の装丁家に訊く、“マンガのデザイン”
マンガのデザイン――個性豊かな作家のイラストを用い、その作品世界を“翻訳”する職人の仕事だ。優れた装丁は我々の心臓を貫き、占有欲を掻き立てる(本が放つ“匂い”に惹き寄せられ、ジャケ買いした経験は誰にでもあるだろう)。
マンガは基本的に、マンガ家や原作者によってのみ作られるが、唯一他者が介在する工程がある。それが装丁だ。装丁の重要な役割は、マンガをパッケージングすること。コミックスの顔ともいえる存在だ。書店で読者の目に留まるインパクトは当然必要なのだが、それ以上にマンガの世界観を独自の方法で極めて巧みに表現している。
『ダ・ヴィンチ』11月号では、そんな“マンガのデザイン”を特集。数々の作品の装丁を解説するほか、『さよならもいわずに』や『テルマエ・ロマエ』など数多のマンガ装丁を手がける装丁家・セキネシンイチにインタビューを行っている。 「“売れる装丁”っていうのは僕にはわからない。作品、作家のイメージをどんな風にパッケージすれば読者に興味を持ってもらえるか、作家さんがどういう人で何を考えながらマンガを描いているのか、それが読者にしっかり届く装丁…