【第17回】ちゃんもも◎『刺激を求める脳』/真理子#6
私は高橋真理子。 誰よりも美しくて強い女。 鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰? 私が望むものはすべて私のものなのよ。 私の思い通りにならないものは消えてしまえばいいのよ。この世から。
ねえ、幸正。 私、あなたに教えてあげなきゃいけないことがあるの。 どれだけ独りになったつもりでいても、人は一人では生きていけないし、どれだけ羽ばたいたとしても、そんなに遠くまでは行けないものなのよ。 そして、あなたはどこかの雲に乗ったお猿さんみたいに私の掌の上でしか飛んでいないの。
出会って間もない頃のように、戻そうね。私たちの関係も、時計の針も。
あなたは喜んでくれているかしら。 私の心のこもったお手紙。そして、お土産。 今頃、お手紙を読んであなたの考えが間違っていたことにちゃんと気づいてくれたのだと思うわ。 いつでもいいのよ? 照れずに電話してきてね。 残念だったけれど、目立ちすぎても困るし、周りに騒がれても嫌だったからドレスは諦めた。 お化粧もナチュラルなメイクで行ったのはいいのだけれど、サングラスをはずして見せても入り口の警備員に…