幻の名作が30年の時を経て映像化! 映画『渇水』主演・生田斗真、企画プロデュース・白石和彌インタビュー
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年6月号からの転載になります。
約30年前に書かれた小説を原作にした、素晴らしい脚本が存在する――。その噂は少しずつ日本映画界に広がっていったという。貧困や格差、家族の絆など、普遍的な生の哀しみを内包する逸作の力に惹きつけられた白石和彌が初の企画プロデュースを引き受け、ストーリーの真ん中に佇む、孤独を抱えた水道局員を演じてほしいと熱望したのは生田斗真。今も、そしてこの先も名作として世に刻まれていくであろう一作に魂を注いだ2人にお話を伺った。
取材・文=河村道子
主演・生田斗真
“演じる”というより“空気を纏う”感じでいた
「ただならぬ熱気みたいなものを感じた」。初めて脚本を読んだときのことを、生田さんはそう振り返る。 「10年前に書かれ、大切に温められてきた脚本からは、この映画を成立させたいと願う人々の力、思いの堆積のようなものが感じられました。そうした作品が自分の許へと辿りついて来てくれたこと、映画成立までの長き道のりを歩んでこられた方々からの、“あなたにこの役を演じてほしいんです”という言葉。役者としてこれ…