カマキリの交尾が残酷なワケは…?『池の水ぜんぶ抜く』加藤英明氏の1冊が、動物の生態を学びながら小説集としても楽しめる!
『ありのままに生きてます 見習いたくなるいきもの物語』(加藤英明、秦本幸弥/KADOKAWA)
ナマケモノやクマノミ、クラゲにパンダ。さまざまな動物たちの生態を描いた『ありのままに生きてます 見習いたくなるいきもの物語』(加藤英明、秦本幸弥/KADOKAWA)。
表紙のイラストとタイトルから、動物の生態を学ぶ図解の児童書と思う人も多いだろうが(実際その要素は多分にあるのだが)、メインは動物たちの目線で描いた7つの短編小説。これがなかなかにシュールで含蓄が深く、動物に興味がない大人でも、小説を読むのが好きならぜひ読んでほしい一冊である。
個人的にいちばん気に入っているのは第2章のカマキリ。昆虫界きっての肉食系カマキリ女子・貴理子の夢は、たくさんの子供を産んで育てること。そんな彼女に一目惚れしたのが草食系カマキリ男子の鎌助だ。「子供は三百匹はほしい」という鎌助のプロポーズを受けた貴理子。2匹はさっそく本能のままに結ばれる……のだけれど。
一度は聞いたことがあるだろう、カマキリのメスは交尾中にオスを食べてしまうということを。理由は、オスを食べる…