「本当のところは…と考えさせる余白がある」本のプロが語る“野原広子作品”の魅力【花田菜々子さん×新井見枝香さん対談】
これは果たしてフィクションなのか? それとも日常のどこかで本当に起きた出来事なのか……? 家族の現実と物語のあわいをすくいとるマンガ家・野原広子さん。『消えたママ友』(KADOKAWA)は手塚治虫文化賞短編賞の選考会でもっとも支持をあつめ、同時ノミネートの『妻が口をきいてくれません』(集英社)とともに受賞が決定した。野原さんの作品の、いったいどこがスゴいのか? “すべての女性を応援する本屋”として知られる「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長・花田菜々子さんと人気書店員・新井見枝香さんのおふたりに、その魅力を語っていただきました。 (取材・文=立花もも)
『消えたママ友』(野原広子/KADOKAWA)
花田菜々子さん(以下、花田) 野原さんの作品ってどれもコミックエッセイのフォーマットで、かわいらしい絵柄で描かれるから、ついつい「著者の実体験かもしれない」と思って読みはじめちゃうんですよね。益田ミリさんやたかぎなおこさんみたいな読み心地を勝手に期待して、なんとなくほんわかしたり、あるあるーって思わされたりしていると、いつのまにか…