閉塞感と生きづらさを抱えるすべての人に読んでほしい『新宿特別区警察署Lの捜査官』吉川英梨インタビュー
吉川英梨 よしかわ・えり●1977年、埼玉県生まれ。 2008年「私の結婚に関する予言38」で日本ラブストーリー大賞エンタテインメント特別賞受賞、デビュー。著書に「女性秘匿捜査官・原麻希」、「新東京水上警察」、「警視庁53教場」、「十三階の女」などのシリーズ、『ブラッド・ロンダリング』『海蝶』など多数。
とにかく歩いて、書く、という。みずからの足を遣い、入っていくのは登場人物の日常。それは吉川英梨ならではのリアルでスピーディーな筆致を生むとともに、説明し難い何かを引き付けている気がする。 「私、取材運が強いというか、その場に行くと、なかなか見られない式典に遭遇したり、偶然お会いした方が、書こうとしている小説のテーマに詳しい人だったりすることなどがよくあるんです。この一作もまさにそうでした。“どんなスタンスで、質問をすれば、失礼にならないだろうか”と、恐る恐る取材に行った新宿二丁目のレズビアンバーでも、偶然、声を掛けてきてくれた女の子がいた。その子がすごくフレンドリーな子で、ビアンのことを細かに教えてくれ、後日、いろいろな店にも連れて…