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西尾潤

職業・肩書き
作家
ふりがな
にしお・じゅん

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誰かに認められたくて、マルチ商法にハマってしまう。衝撃作『マルチの子』西尾潤インタビュー

誰かに認められたくて、マルチ商法にハマってしまう。衝撃作『マルチの子』西尾潤インタビュー

『マルチの子』(西尾潤/徳間書店)

 第2回大藪春彦新人賞を受賞し、受賞作に書き下ろしを加えた連作短編集『愚か者の身分』(徳間書店)で作家デビューを果たした西尾潤さん。デビュー作で描かれたのは、“戸籍売買”に手を出す人たちの、とても愚かで、かつ自分の欲望に忠実な生き様だった。章ごとに視点人物が移り変わっていき、徐々に事件の全貌が明らかになっていく。その構成には求心力があり、読み手をアンダーグラウンドな世界へと引きずり込んでしまう。

 そんな衝撃作を生み出した西尾さんが、待望の第2作を発表した。それが『マルチの子』(徳間書店)である。

 本作の主人公は自己肯定感の低い女性、真瑠子。優秀な姉や愛嬌のある妹と自分を比べ、常に生きづらさを抱えている。やがて真瑠子は承認欲求を満たすように、“マルチ商法”に手を出してしまう。それが地獄のはじまりだとも知らずに。

 驚くべきは、著者である西尾さん自身がマルチ商法にハマっていた過去を持つということ。つまり本作は、実体験に基づいて書かれた小説なのだ。

 知られざるマルチ商法の世界を克明に描くことで、西尾さんはなにを伝えたかっ…

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話題の作家を生み出す大藪春彦新人賞! 赤松利市「後輩と潰し合いがしたい」×西尾潤「罪を犯してしまう、その気持ちが知りたい」

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 実体験をベースにしたという衝撃作『ボダ子』をはじめ、『鯖』『純子』『らんちう』と、実にさまざまな話題作を生み出し続けている作家・赤松利市さん。9月末には、セクシュアルマイノリティの“老い”をテーマにした『犬』を上梓し、その過激な内容がまたしても物議を醸している。

 そんな赤松さんがデビューするきっかけとなったのは、2018年に創設された「大藪春彦新人賞」だ。応募作『藻屑蟹』は原発の除染作業員を主人公とした物語であり、淡々とした語り口で、人間の欲望や醜さを描ききった。以降の活躍ぶりは言わずもがな。デビューしてまだ2年ほどにもかかわらず、ハイスピードで次々と作品を生み出している。

 そして、同賞から二人目の作家が誕生した。それが『愚か者の身分』でデビューを果たしたばかりの西尾潤さんである。

 本作のテーマとなっているのは、「戸籍ビジネス」。社会の最下層で蠢く半グレたちを主人公に、彼らの闇や一筋の希望を描いている。選考委員からは「突き抜けた何かがある」と評価された西尾さん。デビューしたばかりだが、赤松さんのように文壇で活躍することは想像に難くない。

 そこ…

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