「“あなたにも傷ついた記憶があるのではないですか”と読者に問いかけたかった」上間陽子さんが『海をあげる』に込めた並々ならぬ思い
全国の書店員がおすすめのノンフィクション本を選ぶ「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」大賞に選ばれた、上間陽子さんの『海をあげる』(筑摩書房)。取材に同席した担当編集の柴山浩紀さんはこの受賞を受け、「権威から与えられるのではなく読者に直接本を渡す立場の書店員さんに選ばれるという意味で、この賞は大きく、ほんとうに光栄」だと話す。前著『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)の発表から約3年半を経て上梓された『海をあげる』。沖縄で、未成年の少女たちの支援・調査に携わり続ける上間さんが、“自身の痛み”にも触れながら書いた本作にこめた想いとは――? お話をうかがった。
(取材・文=立花もも)
――「Yahoo! ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」の受賞、おめでとうございます。
上間陽子(以下、上間さん):ありがとうございます。ふだん、スポットライトを浴びる機会なんてないので、あらあらあら……っておっかなびっくりしていますが(笑)、受賞スピーチでもお伝えしたように、これは書店員の皆さまからのエールでもあるな…