木全翔也さんが選んだ1冊は?「気付いたら泣いていたこの絵本を、僕は勝手に“もりちい”と呼んでます」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年4月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、木全翔也さん。 (取材・文=河村道子 写真=booro)
家の本棚にあった絵本を手にしたのは小学校入学の頃。さみしがり屋のねずみの歯医者さんと虫歯が痛い怒りんぼのワニくん。ゆったりと巡る季節を背景に、二匹の姿を追っていくと知らず知らずのうちに……。 「泣き出していました。そしておそらくこの絵本を本棚に入れてくれていた母のもとへ走っていって、『この本、すごくいいね!』って言っていました。はじめは治療を嫌がっていたワニくんが懸命に治療をしてくれるねずみの歯医者さんと一緒に遊ぶようになり、次第に友情が芽生えていくところに心を揺さぶられました」 繊細に描かれた森の風景、主人公たちの表情も豊かで眺めているだけでほっこりしてしまう。そしてファンタジーのなか、動物の生態を潜ませたちょっぴりさみしいラストも。 「最後のほうにある二人の後ろ姿が切なくて…