18歳差のふたりの純愛に心が揺さぶられる……実体験を取り入れて描く大正時代の空気感。『煙と蜜』長蔵ヒロコさんインタビュー!
花塚姫子12歳、土屋文治30歳。ふたりは、結婚を誓い合った許婚だった──。ロマン薫る大正時代を舞台に、年の離れたふたりの純愛を描いた『煙と蜜』が今、熱く人気を広げています。仲睦まじいふたりの姿は、なぜ読者の心をここまで揺さぶるのでしょうか。長蔵ヒロコさんに、作品に込めた思いをうかがいました。
(取材・文=野本由起)
人を大切に思う気持ちや助け合う事について描いてみたい
❅―『煙と蜜』は、読み切り短編からスタートしたそうです。この作品が生まれた経緯について教えてください。 長蔵 連載誌の『ハルタ』で、子どもをテーマにしたマンガ冊子を作る企画があったんです。好きなものを詰め込んだ4ページの短編を描いたのですが、それが読者の方に楽しんでもらえて、連載化に至りました。 ❅―連載にあたって、変更した点はありますか? 長蔵 許婚という関係は変わりませんが、時代や土地、軍のことなど設定は、ほぼ一から考え直しました。それに伴ってキャラクターも細かく見直して、今のふたりになりました。 ❅―どんなテーマを描こうと思ったのでしょう。 長蔵 「人を大切に思う気持ち」ですね…