SUPER BEAVER渋谷龍太のエッセイ連載「吹けば飛ぶよな男だが」/第33回「お墓参り」
人は忘れられた時が本当の死だ、と耳にしたことがある。正直な話、何言ってんだ、と思ってる。抱きしめられなきゃ、笑っている顔が見えなきゃ、頑張っている姿を見てもらえなきゃ意味ないんだよ、と。ただ私の心の深いところにうっかり届いてしまったのは、どことなく腑に落ちた部分があったからなのだろう。 誰かが忘れさえしなければ、「生きてないけど、死んでない」みたいな。 高校の時に仲の良かった友達がいた。 いる、ではなく、いた。 余計なお世話かもしれないが奴のことを定期的に思い出すようにしている。他に思い出してくれる人なんてたくさんいるから、奴は死なないんだけど、それでも。 あ、ちなみにここで書きたいのはずっしりくる話じゃない。生と死にまつわることなんかじゃ断じてない。ただの面白い話だ。自分で面白い話って言ってる人の話って往々にしてつまらないんだけど、多分大丈夫。生きる意味なんて正直わからない。でも「面白い」に勝ることってこの世にあるのかしら。面白いことくらいは、ずっと覚えていたい。
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Uが死んで、二年経…