町田そのこ『星を掬う』×永井みみ『ミシンと金魚』。ともに認知症を描いた2人の作家に聞く、認知症と家族、小説のお話《対談》
すばる文学賞受賞のデビュー作にして、三島由紀夫賞の候補ともなった永井みみさん『ミシンと金魚』(集英社)は、認知症を患うカケイさんという女性が、現在と過去をいったりきたりしながらその半生を語るという物語。〈カケイさんの中に亡き祖母を見た。祖母もきっと見ただろう花々に私も出逢えると信じて、これからも生きてゆこう。〉とコメントを寄せた町田そのこさん。本屋大賞にノミネートされた町田さんの『星を掬う』(中央公論新社)もまた、認知症を患った女性が登場し、主人公である娘の葛藤が描かれる。そんなおふたりの対談がこのたび実現。小説を書くうえでの姿勢についても、うかがった。
(取材・文=立花もも、撮影=川口宗道)
町田そのこさん(以下、町田) 『ミシンと金魚』は刊行当初からものすごく話題になっていたので手にとったのですが、認知症を患っている方の、内面の奥の奥までえぐるように描かれているところに、グッときました。コメントにも書いたのですが、昨年、認知症だった祖母を亡くしたこともあり、語り手のカケイさんの姿が祖母に重なったんですよね。祖母はカケイさんのように壮絶な人生…